【ロボット兵士の戦争】ハイテクが変える新しい戦争のカタチをどうみるのか

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ある米空軍兵士の一日

      無人航空機のパイロットの場合

早朝・・アメリカの自宅で起床、基地に出勤
午前・・アフガンのテロ拠点を攻撃
午後・・イラクを偵察
夕方・・帰宅、家族と食事

ハイテクは、戦争のスタイルを根本から変えた。
今後、技術開発はどこへ向かい、人類にどんな影響をもたらすのか。

軍、産業、政治、それぞれの思惑が複雑に絡み合う現状と、新しい戦争がつくりだす難問の数々を、安全保障問題の専門家が初めて明らかにしている。

さらに詳しい内容を知りたい方は 【 ロボット兵士の戦争 】 を参照されたし。

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ロボットをめぐる期待と不安

軍事に関わる工学者たちは、新技術が結局は人類の戦争好きに終止符を打つことを期待しているが、兵士たちのあいだには、科学者たちの期待とは正反対の不安がある。

その不安は無人飛行機やロボット銃やAIの戦闘管理システムによって、戦争というものが従来とはまったく別物になっていくのではないかという不安だ。

戦争と戦士として生きることは、けっして殺すことだけがすべてではない。むしろ、それに伴う犠牲の意識の裏にある理念であり、自分も死ななければならない可能性を受け入れることだった。

実際、軍事史家マーチン・ファン・クレフェルトは、こうした犠牲を厭わない姿勢が、現代の戦争における「唯一かつ最も重要な要素を象徴する」と主張した。

「戦争は、人々がほかの人々を殺すときに始まるのではない。報復として自分が殺されるリスクを冒す時点ではじまるのだ」

誰を参戦させるか:科学技術が紛争の人口構造を変える

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米軍機関誌によれば、軍がハイテクパイロットに求める新兵の条件は、

『機転がきいて、手先が器用で、かつ、暴力的でリアルなバーチャルの双方向テレビゲームで、英雄的行為と殺人の経験を何年も積んだ若者たち。軍はそういう若い世代を利用するだろう』と。

ジェフ・マグレガ―は、最初にバーチャルの戦場で戦争について学んだテレビゲーム好きな子供たちは、現実の戦争を次のようなものとみなすようになる可能性が高いと主張する。

『自分が受けた痛みも相手に与えた痛みも消し、不満も苦悩もスイッチひとつに集約して、人間の心の気まぐれさも、心に宿る勇気もしくは臆病さもなくすことができる。そうなると、ゲームすなわち戦争は、単に素早くスイッチを押すこと、個人的な犠牲なしに戦う戦闘に過ぎない。それは結果なき原因、技術と親指だけの勝利だ』

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実際の操縦の仕方を知らない人間をそもそもパイロットと呼べるのかどうか、ある根本的な点を立証している。
こうした新技術のおかげで、以前は年齢も階級も上の人間に限られていた役割が進んでいる。

軍用ロボットの世界では、階級は途中で形骸化することが多い。ハイテク関連の他の組織と同じだ。

例えば、グーグルでは、厳密な上下関係よりも協調を奨励している。だがシリコンバレーではうまくいっていても、軍の保守派にとっては面白くないかもしれない。

ノア・シャクトマンは、このテレビゲームで育つ若い世代の台頭にこう評している。
『テレビゲーム好きのティーンエイジャーとベテラン戦闘機乗りとの、無人飛行機の主導権をめぐる減の文化的衝突』だと。

UAV Predator / Reaper target destruction GCS (Ground Control Station) Operations

 

暗躍する民間軍事企業

無人システムへの移行は、民間軍事企業のアウトソースをさらに加速させる結果を招いている。民間軍事企業は、機会と接する時間がより長く、軍隊が軍事行動に際して経験する可能性のある頻繁な人の異動もないので、皮肉にも軍隊の「組織記憶」になる。

少し前のイラクでは週に複数回代わりに操縦したと語り、武装した陸軍の無人飛行機「ハンター」が「所有するのは政府、操縦するのは民間企業」と評されている。

こうした行動の裏には、主として、乏しい防衛費を節約したいという動機があるが、同時に戦争の技術が高度化している結果、軍はこれまでになく頻繁に民間の専門知識に頼らざるえないという、暗黙の了解がある。

軍人と民間軍事企業との最も明白な違いは、一方は国家の為に働き、もう一方は利益の為に働いている点である。ある陸軍将校はこう語る。「企業の連中は根は善良だが、損得に対しては抜け目がない」

ウォーロボットの心理学

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ラフル・ピーターズは「戦争とは敵の考えを変えることだ」と語ったが、ロボットが敵に与える影響力を考えることが効果があるとしている。

軍は以前から、ハリウッドの特殊効果を心理的に使ってきた。例えば2004年のファルージャの戦いでは、米海兵隊は市内のあちこちに拡声器を設置し、映画『プレデター』に出てくるエイリアンの不吉な笑い声を流した。

武装勢力を怯えさせると同時に、武装勢力が市内のモスクというモスクから流す説教をかき消すのが狙いだった。

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同じようなハリウッドスタイルへの方向転換は、無人システムの設計全体に起きそうだ。軍用ロボット開発の草分けであるロバート・ファンケルスタインは、次のように言う。

本当に心理的効果を得たければ「見た目をフランケンシュタイン博士が作った怪物のようにするといい。得書く恐ろしげにするんだ」

軍用ロボット企業の科学者たちも「ターミネーター」に出てくるターミネーターロボットのような外観システムを作れるかどうか、軍から問い合わせを受けるという。

エリット・コーエンの場合は、それほどSFどっぷりというわけではないので、代わりに自然に目を向けて「人間が基本的に虫を怖がるのを利用する」ことを提案する。

何がヒントにせよ、敵の恐怖を煽るようにシステムや見た目やデザインに手を加える方法には「無限の可能性がある」とフィンケルスタインは結論する。

いつの日か、恐ろしげなデザインを専門にすることが「職業にならないともかぎらない」。

心理抜きの戦争の時代へ

敵も味方も無人システムを使うようになってくると、心理学のより大きな疑問が表面化する。

その中心にあるのは常に人間の心理だが、その人間の様々な心理が無くなり、恐れも驚愕も怒りも衝撃も畏怖も、人間のどんな心理的要素も感じず、ただ0と1のソフトウェアだけに導かれるとしたらどうなるか。

過去五千年の戦争は、人間の軍隊は何か「構想、夢、悪夢、あるいはこの三つを混ぜ合わせたものが、気合を入れて猪突猛進するには必要だった」が、ロボット同士の戦争の場合は、充電するだけでよいという結果になってしまう。

Robot Wars – USA

 

ロボット戦争のコンセプトのひとつに「戦闘員支援」という発想がある。上記の映像のようにパックボットのようなロボットと人間の兵士の混成チームが、共同で任務を遂行するというものだ。

イラクでは、この手のロボットは命を救うが、敵に対して、予期せぬメッセージを送ってもいるのかもしれないと伝える。

そうした技術のせいで、アメリカ人は「私達と戦わせるために機械を送り込んでくる臆病者」に見えると、イスラム世界にある英字紙の編集特別委員はコメントする。

「男らしく戦おうとせず、戦うのを怖がっている、と。だから、自分達が勝つには、アメリカの兵士を何人か殺すだけでいい」こうして戦争の考え方はより複雑化していく。

まとめ

パイロットはリスクにさらされることはなくなったが、約1万2000キロも離れた本部から戦う経験は、戦争に新たな心理的傾向をもたらす。

「目の前でアメリカ兵が殺されたあとで、PTAの会合に行かなきゃならない」とあるパイロットは語っている。

あるパイロットによれば、オフィスの小部屋から戦うのは「人間味が薄れる。戦場にいるときのような感情は湧いてこない」。別のパイロットは言う。

「テレビゲーム感覚だ。ちょっと残虐になる場合もある。だが、とくかくすごい」とバーランド・ラッセルはかつてこう言った。

「世界に思いやりが増えないかぎり、技術の力はもっぱら、人間が危害を加え合う可能性を増大させる」注目すべきことに、ラッセルの発言は1924年のもので、最も技術が進歩すると同時に最も暴力的だった20世紀の出来事は、ラッセルの正しさを証明している。

戦争はいままで人間性を、目的意識を、英雄的行為をもららすことだった。暴政やテロに終止符を打つ現在の戦争目的まで、戦争は常になんらかの理念に結びつけられなくてはならなかった。

もちろん理念は必ずしも守られていたわけではなく、ダブルスタンダードだらけだったが、これからの戦争の定義に欠かせない理念を、ロボットは取り去りはじめている。

新技術を使う戦争は、私たちが以前知っていて理解していた戦争とは、異なる様相を呈している。殺人の新たな技術がもたらした現実は、私たちの世界をさらに混迷な世界を創り出すだろう。

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【参考文献】 ハイテク戦争の広範囲な考察非常に面白かった。

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