【敵対的買収】 不利な状況のなかで 勢力を逆転させる 買収の戦略的思考法とは

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ある買収者がどのように企業を買収したのか。それはたったひとつの提案で、反対者全員を味方につけるまでのちょっとした面白い話を取り上げてみたい。

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ポイズンピルとは

既存株主にあらかじめ「買収者のみが行使できない」オプションを付与しておき、敵対的買収が起こった際に、買収者以外の株主がオプションを行使することにより買収者の持株比率を低下させたり、支配権を獲得するために必要な買収コストを増加させることで買収を困難にすることを目的とする買収防衛策である。

ライツプランとも呼ばれる。日本では会社法上などの規制により、米国のポイズンピルとまったく同じ仕組みは取れないが、いわゆる「事前警告型防衛策」において想定している新株予約権を活用した対抗措置は同じような効果を狙っている。 【 野村証券:ポイズンピル 】

ある企業の戦略的選択

ポイズンピルを行使しているある企業の買収を検討しているとする。

ターゲットとなる企業は、株式を公開しているが、家族経営を残し、五人の取締役はいずれも創業者の孫にあたる。
その創業者の孫たちが、買収防衛のために、以下の条件でポイズンピルを敷いていた。

  1.  孫同士の対立や外部からの脅威を予想し、そうした事態から会社を守るために、取締役の改選時期をずらす規則をつくった。
  2.  敵対的買収を行った者が、この改選手続きを変更してしまうことを心配して、ポイズンピルの二番目の規則として、改選手続きの変更は取締役会での採決によってのみなされるとした。
  3.  取締役は、誰でも単独で提案することができ、提案者は自らの提案に賛成票を投じるところから採決を行う。投票は丸テーブルで時計周りに順次行われ、提案が通るには取締役のうち50%の賛成が必要。五人の取締役のうち五分の三の賛成が必要となる。
  4.  取締役メンバーや改選手続きを変えようという提案を行った採決に敗れると、その取締役は地位と持ち株を没収される。没収された持ち株は残りの取締役に均等に配分される。さらに採決に敗れた提案に賛成した人もまた、地位と持ち株を失う。

これらの都合のいい規則によって、創業者一族は、敵対的買収から逃れることができた。しかし、シーショア社のシーシェルは、51%の株式を取得し、買収に乗り出してきた。

彼女は、改選時に自ら投票し、取締役におさまったが、一族支配体制の中、最初の取締役会で、メンバー全員を入れ替える急進的な提案を行い、意外にもシーシェルの提案が全会一致で通過したのだ。

シーシェルは早速メンバーの総入れ替えを行い、創業者一族の取締役を一掃し、一定の退職金を与え会社から去ってもらった。

シーシェルの提案

  1.  もし提案が全会一致で採択されれば、シーシェルが取締役の総入れ替えを行う。各取締役には、少額の退職金が支払われる。
  2.  もし提案が4:1で採択されれば、反対した一人は取締役の地位を失い退職金の支払いもない。
  3.  もし提案が3:2で採択されれば、シーシェルはペッパー社株の持分51%全てを賛成票を投じたシーシェル以外の二人に均等に与える。反対票を投じた二人は退職金なしで地位を失う。

まずは、2:2だった場合、最後に投票する取締役の決定までのプロセスを見て観よう。

  • 賛成にまわれば、彼の配分される株は、25.5%
  • 反対にまわれば、彼の配分される株は、17.0%

よって彼は、賛成票でまわるだろう。皆が逆算から考えて、推量する場合、2:2になったら、最後はシーシェルが勝つと予想できる。次に4番目に投票する人の立場に立って考えてみよう。

その人が投票する段階では、賛成票が

  1. 1票 ( シーシェルの投票 )  か
  2. 2票 か
  3. 3票 か

のいずれかである。

賛成票が3票であれば、すでに提案は成立している。4番目である人は何も得られない。提案③よりは、提案①②のほうがよいので、賛成票を入れるだろう。

賛成票が2票であれば、彼はたとえ自分が反対票を入れても最後の人は賛成に回ると予想できるので、提案の成立は阻止できない。結果、勝つ側についたほうがよく賛成票を投じることになる。

最後に1票しかない場合、彼はすすんで投票を2:2に持ち込むだろう。そうなれば最後の人が賛成にまわり、その二人は大きく得をすることは確実に予測ができる。最初の二人が反対票を入れても、残り二人は、賛成に回り提案は成立すると予測できる。

どうせ提案阻止ができないのであれば、賛成側について、少しでも利得にあずかるほうが良いと判断するだろう。

まとめ

先読みをして、逆戻りの推理により考えていけば、最初に提案を通過させるために必要な制度を創造して、全会一致となる提案を考えればいい。

確実にシーシェルの提案が通るように、戦略を立てるとすれば、最終段階から考え始め、最後の二人には提案に賛成票を投じるインセンティブを用意すればよく、それさえ可能であれば、シーシェルが最初に投じる賛成票とあわせて提案は成立するのである。

このように、権力や圧力などを行使 ( M&Aに限らず ) せずに、多くの利得を得るにはどうすればよいかと、相手側の立場に立って考える思考を持つことは、ビジネスのシーンでは非常に重要な要素である。

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【参照書籍】 様々な事例が豊富で思考とは何かを考えさせられる良い書籍でした。

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