一足早いスタートでロイヤルティを勝ち取る
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消費者について研究しているジョゼフ・ヌエスとゼイビア・ドレーズは、顧客が報奨プログラムに参加する場合、特典ポイントが最初からおまけでいくつかつけられていると、それで報奨を得るのに必要な購買数が減るわけではなくても、その企業がロイヤルティが増し、目標点に早く到達するだろうと考えて、実験を行った。
実験
洗車場の顧客三百人にポイントカードが配られ、洗車サービスを利用するたびにスタンプを押しますと伝えます。カードは二種類あり、一方のカードは、スタンプ 8 個で洗車一回無料になると記されており、スタンプは一つも押されていませんでした。もう片方のカードには、スタンプ 10 個で洗車が一回無料になると記されており、最初からスタンプが二個押してありました。
つまりどちらのカードも、特典を受けるにはあと 8 回の洗車が必要だったわけですが、後者の方がやや先に進んでいるように見えます。
結果
数か月後データを調べると、スタンプ 8 個のグループでは、無料洗車の特典に到達した顧客は 19 % で、おまけつきのスタンプ 10 個グループでは、34 %にのぼった。
また、おまけつきのスタンプ 10 個グループのほうが洗車の間隔が平均 2.9 日少なく、8 回の洗車にかかった期間が短くなっていました。
彼らはこう結論づけました。顧客はプログラムをまだ始めていないと考えるよりも、始めたけれども途中と考えるほうが、それを完了させようという気持ちが強くなります。
あらゆる報奨プログラムにあてはまる
下記の言葉は、もうすでに着手しているので、途中から参加しやすいですよという呼び水として使えると思います。
● これからあなたに頼むことは、あなたがすでにある程度経験していることです。
● あなたはプロジェクトの成功にある程度近づいた状態からスタートできます。
● 仕事はもう三割ほど片付いている。
誰かに目標を達成させたいのであれば、そのゴールに向かってすでにどれだけ進んだかという証拠を示してあげればいいと思います。いろいろと考えればでてきますね。一度お試しください。
どこまでも、どこまでも、伝わるメッセージ
現代生活において、あらゆる場面で商品に囲まれて生活をしていますが、いざ品物を買おうとするときに購買を行う私達はどうやって選ぶでしょうか。
広告一般で考えると、大掛かりなキャンペーンを増やし、ブランドのセールスポイントを具現化したキャラクターや芸能人(後光効果)などを使って商品を関連づけています。
しかし商品を選択する時にその関連づけを思い出すはずだと決めつけることは、認識が甘いといわざるをえません。現在生活で消費者の記憶力ではカバーしきれないことが多くなってきました。
ただし、買う時に、関連づけ頭に蘇らせてくれる合図があれば話は別です。そういう観点でビジュアル・キャラクター・キャッチフレーズなどを消費者が購入を判断する際に目にするディスプレイや商品パッケージにも統一して用いる必要があります。
旧来型のマーケティング手法 + 社会規範マーケティングを一緒に組み込むのもひとつの手ですね。社会規範を持ち込まなければいけない場所(例えば公共施設や酒場)などにさりげなく注意を向けさせる広告も最近では出てきていますね。
例えば酒場では、コースターなどに”キャンペーンロゴや注意喚起”を促すビジュアルやフレーズを組み込むのもその典型例ですね。
また顧客の飲み物に、角氷型のプラスチックに発光ダイオードのライトを封入した”ライトキューブ”なるものを入れているところがあります。キューブが、パトカーのライトのように赤や青の光を放って警察を連想させ、記憶補助装置の役割をすることで飲んでいる人への説得力が増すと紹介されています。
こうした記憶補助の手段を使えば、明らかな広告ですよと言うのではなく、使用している人々がさりげなく気が付くメッセージの方がどこまでも、どこまでも自然に伝わるのではないでしょうか。
鏡の中の望ましい自分が人を導く
社会学者のアーサー・ビーマンらはハロウィンに行った実験
ハロウィンで子供たちが一軒一軒訪ねてきたときに、子供たちの名前を尋ね、近くのテーブルの上に大きなお菓子入れを指します。子供たちに一人一個ずつお菓子を取ってもよいと告げてから、彼女は用事があると言ってさっさと部屋を出ていきます。
そして彼らを別の部屋で監視してみます。結果は三分の一以上、正確には33.7%の子供が、許可された数よりも多くのお菓子を取ったことが分かりました。
もうひとつの実験では、鏡を使ってお菓子泥棒の割合を低くできないかを調べる実験を行いました。子供がお菓子を取る時に自分の姿が必ず映って見えるようにしておきました。
鏡を置いた泥棒の発生率は、わずか 8.9 % になりました。このことから、日常生活では、鏡を使えば社会的に好ましい振る舞いを相手に促すことができることが分かってきています。
たとえば従業員の窃盗行為に悩まされている経営者であれば、会社の倉庫に鏡を置けば、盗みを減らすのに驚くべき効果があることが分かるでしょうし、現に私が勤めていた会社では出口であるEV前に鏡が置かれていました。
相手の名前や目の絵でも影響がある
社会学者のエド・ディーナーらの研究では、相手の名前を尋ねることで同様の効果が得られることが示されています。子供でも従業員でも、学校や職場で名札を付けるようにするのが、より好ましい振る舞いを促す下準備をさせる為に仕込んでいるというわけです。
最近ではオフィスでお菓子を集金箱に入れて食べられるサービスがありますが、この集金率向上のために過去に同じような実験を科学者のメリッサ・ベイトソンらの研究によると、シンプルな目の絵を壁に掛けるだけでも、社会的意識の高い行動を周囲に促す効果があるといいます。
この例ではコーヒーを入れた場合に隣にある代金集金の瓶前に花の絵と目の絵をそれぞれ週ごとに掛け替えましたが、支払われた飲み物代が、花の絵の週の 2.5 倍以上も多かったようです。
私達は無意識のうちにこうした状況に置かれていることがあります。その際にこうした効果を使っていることも意識する必要もあるでしょう。
明晰な意思決定は睡眠から
社会心理学者のダニエル・ギルバートの研究では、疲れていると、人を欺いて影響を与えるような策略にかかりやすくなると研究されています。
疲れていると、実際にそれが真実か否かに関わらず、そのメッセージを聞いた人はただちにそれが真実だと思い込むという仮説も裏付けが取れたそうです。
疲れていると、認知能力と意志が弱まるために、大変騙されやすい状態となり、あやふやな説明や、まったくの虚偽をも信じてしまう可能性があります。
よく事件とかにあるのが、洗脳・マインドコントロールするために相手を疲れさせる策略を取る犯罪者の常套手段ですよね。また独裁国家などが思想改造の際にも使われる手です。
この要因の他にも、気を散らされることも影響を受けやすくなるとバーバラ・デイビスとエリック・ノウルズが行った研究でも証明されています。
クリスマスカードの販売員が2ドルという当たり前の言い方をせずに、200セントという意外な言い方をして相手を戸惑わせ、さらに”お買い得です”と付け加えるとカードを買う人が二倍も増えたそうです。
国内でもよくあるのが、タウリン何百グラムといった表現でもよく見かけますよね。売込にしたがって購買率が上がったのは、最後に”お買い得です”という誘い文句があった場合に限られているのも注意して考える必要もあるでしょう。
一瞬のかく乱の間に、売り手はこっそり説得の文句を滑り込ませたというわけです。
言うまでもなく決断と意思決定には睡眠と休息は重要
相手の主張の真偽を正しく判断する必要があるような重要な決断は、はっきり目が覚めている時に行うべきです。そのためには十分な睡眠と休息が重要です。
職場や家庭での自分だけの「決断のための場所」を設けて、気が散ったり騒音に悩まされたりせずに目の前の課題に集中できるようにする方法を取ることが重要です。
大事な場面では、あまり複数のことを同時に行わないようにして、休息と睡眠を取りじっくりと計画や策を練り事前に準備を整え、重大な決断に望んでください。
参照文献 【影響力の武器 実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣】
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