【影響力の武器】原理と実践的検証:判断ミス防止策・短所を長所に変える・弱点も見せ方次第・責任回避法・積極的コミットメント

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最良の教材は過去の失敗例

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行動学者の研究者であるウェンディ・ジョンは、職務上の判断ミスを最小限にするうえで、トレーニング・プログラムの種類によって効果に差が出るかを調べました。

過去の成功例と失敗例のどちらかに重点を置いてトレーニングすべきかを明らかにしたかったそうです。研究者らは記憶に残りやすいことなどから失敗例に焦点を絞ったトレーニングの方が効果的だろうと仮説を立てました。

プレッシャーのもとで意思決定する能力が重視され、その下した決定が重大な結果につながる職業の人々を対象に選び、その候補を消防士を選びました。

仮説前提:2つのグループわけ

グループ① 消防士の誤った判断によって残念な結末に至った実例を取り上げて学ぶ
グループ② 消防士の優れた判断によって悲劇的な結末を避けられた実例を取り上げて学ぶ

結果

ミスの無い事例を扱ったトレーニング ② に比べ、ミスが起きた事例に基づくトレーニング ① は、参加した消防士の判断力がはるかに向上することが分かった。

こうして考えていくと、間違いに関する事例研究、ビデオ、説明図、個人の証言などを検討し、ケースや類似の状況ではどのような行動が適切だったのかを話し合う必要があると思います。

多くの企業は普通トレーニングの重点をプラス面、つまりどうやって優れた意思決定を行うかのみに置いていますが、過去にどのようにミスが起きたか、どうすればそうしたミスを避けられたのかにトレーニングの重点を置きべきと報告している。一度検討してみる必要があるだろう。

短所を長所に変える最善策

行動科学者のキップ・ウイリアムらの調査によると、弁護士が相手側に指摘される前に自ら申し立ての弱点に触れた場合、陪審員はその弁護士を誠実と見なして信頼を置き、評決に当たってその主張に対する支持が増しました。

最初に短所や若干の不得意を明らかにしてから長所に触れる人の方が、信頼度を上げることができるようです。この手法は広告や販売の現場でも多く使われている理論です。

古くはフォルクスワーゲンビートルの”不格好なのは見た目だけです”やレンタカー会社のエイビスによる”エイビスはナンバーツーです。だから頑張っています”などのキャッチフレーズなど、商品の小さな欠点を敢えて触れることで、その企業は誠実で信頼できるというイメージが生まれやすいといえます。

国内においても青汁の”まずい~もう一杯”というのも似た原則を使っているといえるでしょう。ただしこの手法が使えるのは、短所が本当に小さい時だけですので注意が必要なのは言うまでもありませんが。

弱点も見せ方次第

社会学者のゲルト・ボーナーらの研究によると”両面的”な説得方法が最大の効果を上げるためには、メッセージが伝えるマイナス面とプラス面の間にはっきりとしたつながりが必要になると報じている。

ボーナーはあるレストランの広告を三種類作りました。

  1. くつろいだ雰囲気など、プラスの面だけ載せる
  2. プラス面とそれに無関係なマイナス面を載せ、当店はくつろいだ雰囲気ですが専用駐車場はありません。
  3. マイナス面とそれに関係したプラス面を載せ、当店は狭いですがくつろいだ雰囲気です。

というようなメッセージの広告を出しました。

三番目の広告を見た人はマイナス面とプラス面を繋げて考えることができました(狭さもくつろいだ雰囲気づくりに一役買っている)二種類の両面的メッセージは、共にレストランのオーナーへの信用は向上させましたが、レストランの評価が最も高かったのは、三番目のプラス面とマイナス面に関連性があるメッセージでした。

レストラン、商品、自分の資格など、特定の対象に対する好感度を上げたい場合は、短所には必ずそれに関連した長所を組み合わせて示す必要があると伝えています。

研究結果に従うのであれば、短所を挙げてから、それと関連する長所について述べ、他の特長には触れないでおくのが得策だといえます。

欠点に触れたあとは必ずそれに関係のある長所について述べることによって中和させるのが大事ということでしょう。

“酸っぱいレモンしか手に入らない運命なら、リンゴジュースなど欲しがらず、美味しいレモネードがつくりましょう”

システム障害発生でも責任者は救われる

社会科学者のチャールズ・ネイキンとリー・カーツバーグは、組織内で何か支障が起き、その主因が人為的ミスでは無くテクノロジーに関係した技術的な障害であると判明した場合、顧客やその他の人々は、その組織に全責任があるとは見なされないのではないかと考えた。

そこで学生たちに事故を基にした架空の新聞記事を読んでもらいという実験をしました。事故はシカゴ交通局の通勤列車同士が起こしたもので、多数の負傷者が出た上に、大勢の人が不便を被りました。

  1. 実験参加者の半数に読んだ記事には事故は技術的な障害
  2. 実験参加者の半数に読んだ生地には事故は人為的なミス

と書かれていました。その結果、事故原因が技術的な障害だったと知らされた人たちのほうが、シカゴ交通局の責任を問う声が少ないことが分かりました。

同じように大学のキャンパスで実際に起きた事件を利用したものもあります。大学の電子メールシステムにトラブル発生し、キャンパス内にしかメールを送れない状態が丸一日続いたというものです。

  1. 実験参加者の半数に原因はコンピューターのトラブルによってサーバーがダウンした
  2. 実験参加者の半数に原因は人為的ミスによってサーバーがダウンした

と伝えました。やはり人為的ミスだと教えた人たちはIT管理事務局をより強く非難し、相当の罰金を科すべきだという意見まで出ました。

人間の失敗が絡んでいる出来事のほうが制御できる可能性が高いはずだというイメージで見られるそうです。

リスク対策では以下の二つの迅速な対応によって危機を乗り越える企業が多いですね。

  1. 人々に対して自分は役立つ人間で、誠実に対応し迅速に情報を集めそれを豊富に持ち、彼らの味方であるという点を示すこと
  2. 自分には問題の原因が分かっているため、今後は状況をよりうまく掌握できるとはっきり伝え、それに対する対処法をすぐに実行していること

が挙げられます。

人を目標に結びつける積極的コミットメント

営業部長や小さな企業の経営者などは、営業スタッフの成績アップのため、目標やノルマを書き出す行為をされられることがあります。
私も営業マン時代させられた経験があり、これを読んでいて、ああ。なるほどと納得した実験です。

積極的に行われたコミットメントと消極的なコミットメントでは、その持続力に差があるそうです。
社会科学者のデリア・チオッフィとランディ・ガーナ―は、積極的コミットメントがいかに強力に、また巧妙に働くかを示す実験を行った。

大学生ボランティアの参加を希望するかどうかの実験で、積極的教示もしくは消極的教示という二種類の教示のうちどちらかを一方を受けるようにした。

実験

● 積極的教示グループ:参加を希望する場合には、参加希望と書かれた用紙に記入するよう指示
● 消極的教示グループ:参加を希望する場合には、不参加と書かれた用紙に何も記入しないでおくよう指示

結果

ボランティアを希望した人の割合は変わらなかったが、数日後、実際に会場に現れた人の割合には、驚くほど差が出たそうです。
同意の仕方が消極的だった人のたちのうち、約束通り来たのはわずか 17 %でした。一方、積極的なやり方で同意した人たちは、実に 49 %が約束を守ったのです。
全体としては、予定通り現れた人の大多数 (74%) は、ボランティアを行うことに積極的な同意をした人達でした。

書き出す形のコミットメント(積極的コミットメント)は過去より多くの人々が行ってきており、自分自身の性格や志向、理念が自分にその決断をさせたと考える傾向が強いことを明らかにしています。
このコミットメントは、詳しく書き出して達成に必要なステップまで加えればより実現性を増すことが出来、それを知り合いなどに見せれば万全ですね。

この方法は、商品購入での申込みの記入を販売スタッフではなく顧客自身が行ったほうが、あとから申し込みをキャンセルされる率が少なくなるそうです。

いろいろな分野で応用できそうですね。

参照文献 【影響力の武器 実践編―「イエス!」を引き出す50の秘訣

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