【影響力の武器】原理と実践的検証:フット・イン・ザ・ドア、競売理論・専門家の過信・帰属の誤り・機長症候群

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小さなお願いが引き出す大きな効果

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アメリカ癌協会への寄付実験

研究助手が戸別訪問をし、住民たちに、ご寄付いただけませんかと訪ね、半数はそこで切り上げ残り半数は、”1ペニーでも助かります”と最後に付け加えた研究結果 “1ペニーでも助かります” と最後に付け加えた場合、切り上げたグループよりもほぼ二倍の人達が寄付に協力した ( 50%対28.6% ) と結果が報告されている。

1ペニーと言ってしまうと、寄付額が減少する可能性もありますが、一人あたりの平均寄付金額に違いがないことが報告されている。 “1ペニーでも助かります”と最後に付け加えた頼み方の方が、普通に頼むよりも寄付した人の数だけでなく、寄付の総額も増えるということです。

“まずは手短にお話して頂くだけで結構です”は、小さな一歩でも正しい方向であれば、得られる結果は決して小さくはないということです。

安くする?高くする?オークションの売り出し価格

行動科学者のジリアン・クーらの研究によると次のような三つの理由から開始価格が低いほうが落札価格は高くなることが示されています。

① 開始価格は低ければ低ければ多くの人を入札に呼び込める
② 低価格での売り出しの方がアクセス数が増え、入札件数に反映される
③ 安値で入札し早期から参加した場合、度々自分の入札価格を更新する傾向がある。

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 価格は低く (最近では1円入札) アクセス数を増やし入札が増えることによって社会的妥当性によって競争を促し、入札者はすでに掛けた時間が無駄にならないように、価格をさらに上げても入札を続けて、落札しようとするわけです。

これは商品自体に価値を見出るかどうかによりますが、その条件が正しければ、低価格の売り出しが効果を上げる際のキーポイントは社会的証明です。

参照画像 【From Holland with Love】

さりげなく能力を際立たせる

あなたが普通の人の場合、専門知識を披露しても、自慢好きの自惚れ屋だと思われる可能性があります。特に自分はそのように思ってなくても、そう思われてはたまりません。あなたが専門家である場合、どうしたらよいでしょうか。 ひとつは、自分の代わりに誰かほかの人に話してもらうことです。作家やアーティストがよく使うこの手法は古典的ですが有効な方法です。

ただ聞き手が誉め役として雇われたことを聞き手が知っていたら、興ざめするようにも思われますが、聞き手が彼らにありがちな”間違い”をしてくれるとそうはなりません。 その間違いとは、社会心理学者が”根本的な帰属の誤り”と呼ぶもので、人が誰かの行動を観察する際は、相手の行動に影響を与えている状況的な要因 (お金など) にはあまり注意を向けない現象を指します。

ジェフリー・フェファーらの研究では、自分の能力を保証してくれる仲介役を雇うのは効果的な説得方法だと報告しています。自分で自画自賛した場合よりも、代理人が売込みをした場合のほうが、その作家に対する評価は好意的だったと結論を出しています。 そればかりか、可能ならば第三者に契約条件や報酬についても交渉することが有効なのは、プロスポーツ選手の交渉人にも利用されていますし、プレゼンテーションをする際に、司会者や代弁者に経歴、自己紹介などをしてもらうことが多いのはこのためです。

商売をしている方であれば、この代わりに専門性を語ってもらうことはすぐにでも出来ます。

例えば、あなたのお店に電話が掛かってきた場合、“はい●●(専門分野)ですね。それであれば●●部門の(担当者名)に繋ぎます” またその担当分野についても簡単な説明を行います。

この方法には、長所が4つの利点があります。

① 受付などが担当者の経験について顧客に伝えることはすべて本当の事なので、素直に顧客が聞くことができる。
② 受付などは明らかにつながりのある人物でも、その紹介が彼らにとって有利に働いても、さして問題がないこと。
③ この方法は有効であり、予約件数が格段に増えたと報告させている。
④ 導入に関して費用が掛からず、幅広い専門知識や経験があるかは、誰もが知っている情報なのですぐに出来る。

また紹介者がいない場合はどうするか。この場合よく専門家が自分の部屋内に賞状や卒業証書、資格免許状などを仕事部屋に飾っていることがありますが、この効果を同じことをしているのです。

優れたリーダーの力を最大限発揮させるには

専門家を自認するリーダーが思わず足元をすくわれる結果になるのは、洋の東西どこでも起こることですが、今回の例でもそれが言えます。

二人の科学者による生命の神秘の解明の成功理由

ジェームス・ワトソンとフランシス・クリックによるDNAの二重らせん構造の発見者による成功理由を次のように語っている。

  • 最も重要な問題点を早期に割り出せたこと
  • 二人とも自分の仕事に無我夢中になれて目の前の課題に一心不乱に取り組めたこと
  • 自分達が精通している分野以外の方法も積極的に取り入れたこと

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などを語っているが、DNAコードを解読できた一番の理由は、”この問題を追求していた科学者のなかで彼らがそれほど優秀ではなかったから”だと語っている。

この問題を取り組んでいたなかで当時一番優秀だったのが、ロザリンド・フランクリンだったが、彼は優秀だったために、めったに人にアドバイスを求めなかった。一番賢いということは、厄介なことなんだと語っている。

参照画像 【e! Science News】

リーダーシップを執るにはそれなりのプロセスが必要

行動学者のパトリオット・ラフリンらは、グループ内で協力し合いながら問題解決を図った場合の取り組みと結果は、平均的なメンバーが一人で行った場合を上回るだけでなく、グループで最も問題解決の高い人が一人で行った場合よりも優れていることを示しました。

リーダーの経験や技術、見識が素晴らしいと、その中で自分が一番うまく問題を解決できると考えて、ほかのメンバーの意見を聞かないことがよくあります。

優秀なリーダーが一人で求めた解決策が熟練していないメンバーが協力して得た解決策よりも劣る理由

① リーダーただ一人による意思決定では、自身を含む複数のメンバーからなるグループがもつ知識や考え方の幅の広さには対抗できない。
② 問題解決に当たって発揮されるグループの強みとは、並行処理能力です。協力し合えば副次的課題をメンバーに振り分けられるが、それを一人で処理するには課題を順番にこなす必要がある。

結局のところ、合議制のほうがよいのかといった意見もありますが、それは最良なものにならないのは、歴史が証明しています。戦時中の軍と政府首脳部による連絡会議の合議制や昨今の機能不全に陥った大企業を見ても明らかであり、投票によって結論を出すことは勧められない。

いやむしろ共同決議は避けるべきと指摘しており、最終決定は常にリーダーに一任されるべきであると本書では勧めている。様々な意見を求めるプロセスが大事であり、各メンバーの意見が決定的な要因にならずとも、結論に至るプロセスで必ず考慮されることをリーダーが明確にするべきであると勧めている。

機長症候群の教訓

優秀であることの危険性は、自分で自分の判断が最も的確だと思うときに危険が起こったりします。このリーダーがとされるのがパイロットである場合、生死にかかわる重大な意味を帯びてきます。 1982年フロリダ航空90便がワシントンDC近郊で氷の張ったポトックス川に墜落する直前のブラックボックスの記録を下の映像で確認できます。

Air Florida Flight 90 crash (Black Box) 2/2

 

副操縦士:待機時間が長引き結構経ちましたが、もう一度翼の凍結具合を調べてみましょう。
機長:いや、もうすぐ離陸だ。
副操縦士:(離陸態勢に入り、計器を見ながら)機長、これはおかしいですよね?ああ、まずい。
機長:いや、大丈夫だ・・。(無理矢理高度を上げようとして、機体が音を発する)
副操縦士:ラリー機長、墜落してしまう! 機長:分かっている!

(機長と副操縦士ほか七十六名が亡くなった墜落の衝撃音)

【機長症候群】

リーダーの言うことに押し切られて議論や反論を止めてしまい、好ましくない結果を招いてしまうこと。飛行機の機長が間違った判断をしたにもかかわらず、それをサポートする副操縦士らが機長の誤った考えを翻意させることができず、結果として墜落事故にいたってしまったというケースからこの名がついた。  機長症候群が起こる理由としては、1つには、強制力が働くためにリーダーの言うことに従わざるを得ないことがある。これは必ずしも機長症候群の最も重要な問題ではない。より重要なポイントは、リーダーが優秀な場合、往々にして、フォロワーが自律的に考えたり、リーダーと議論することをしなくなり、結果として、盲目的にリーダーに追従した形になってしまいがちなことである。

正当で博識な権威者であるはずのリーダーに盲従してしまう悲劇はどんな世界でも起こる。この問題は医療業界でも確認されている。

Hofling hospital experiment】 In 1966, the psychiatrist Charles K. Hofling conducted a field experiment on obedience in the nurse-physician relationship.[1] In the natural hospital setting, nurses were ordered by unknown doctors to administer what could have been a dangerous dose of a (fictional) drug to their patients. In spite of official guidelines forbidding administration in such circumstances, Hofling found that 21 out of the 22 nurses would have given the patient an overdose of medicine.

看護婦の服従実験で、心理学の研究者であるチャールズ・ホフリングの調査によれば、ナース・ステーションに病院の医師だと伝え、特定の患者にアストロゲン薬剤を20ミリグラム投与するように電話で指示したところ、95%のケースで、看護婦はただちに薬品戸棚からこの薬を取り出し病室に向かおうとしたと報告が上がっている。

しかも、通常の一日分の処方の2倍に相当し、この薬剤自体が病院での使用が未許可であったのである。すなわち、スタッフが揃っている医療チームでは知的専門家集団が最善の判断をなすべく協働していると考えがちだが、よく調査してみると役割を果たしているのはそのなかの一人だけだと証明されている。

担当医師は権限があり同時に権威でもあるので、周囲はおのずと医師の専門家として立場を譲り服従してしまうのは不思議ではない。強力な権限と権威を両方を持ち合わせているのは、医療だけでなく、専門で商売をしている場合のトップはこのことを、教訓として覚えておくとよいとされます。

もしリーダーやチームのメンバーからの意見を怠り、メンバーがリーダーに意見するのを怠れば、悪循環が起きて意思決定に支障をきたし選択を誤り、避けれるはずの間違いを犯すかもしれない。

豊富な知識をもつスタッフからの意見を歓迎するような、協力に基づくリーダーシップこそが、この悪循環を断ち切る鍵となります。教訓を思い出し、自分の自惚れを戒めてください。

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