【人間この信じやすきもの】思い込みでものごとを見る_あいまいで一貫性のないデータのゆがんだ解釈

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【トレード・オフの代償】

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トレード・オフは、日常の判断や推論においても生じやすいが、何事かについて判断したり、決断をしたりするとき、いろいろな便宜的規則や方略を使って難しい問題を単純化し、問題を解くための労力や負担を軽減している。

こうした方略を用いることは、多くの場合有益であるが、問題を単純化することから生じる利益は、ときに単純化に伴う誤りが必然的に生じるという代償の上に成り立っている。

人間の判断には、容易さと正確さとのトレード・オフがあるということである。

ある特定の証拠を調べようとしているとき、予想するとおりに物事が見え、予想通りの結論にたどり着くことになりやすいものである。既存の信念に合致する情報は額面通りに受け入れられやすく、反対に信念に対する情報は、批判的に吟味されたり、割り引いて扱われる。一度持たれた信念は、新たな情報が提供されても、簡単には影響されないことになるのである。【誤信の認知的要因】

 

【都合の悪い情報による影響力】

死刑廃止論者と死刑存続論者とが死刑の犯罪抑止効果についての情報をどう解釈するかについての研究がある。

【Nisbett,R.E.,& Ross,L(1980).”Human inference: Strategies and shortcomings of social judgment.” Englewood Cliffs, NJ: Prentice-Hall.】

【驚くべき結果を示した】

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死刑の犯罪抑止効果についての2種類の調査レポートが廃止派と存続派とに提示された。一方では犯罪抑止効果を立証する証拠が含まれ、もう一方では抑止効果を否定する証拠が含まれていた。

自分自身の主張に合致する研究に関しては、重要な証拠を提供する良い研究で判断する一方、自信自身の主張に反するデータを提供する研究に対しては、研究方法の欠陥をいくつも指摘したのである。

主張はさらに両極化され、どちらの立場の被験者も、自分自身の当初の主張をさらに強めることになってしまったのである。

【その影響力は複雑化していく】

彼らは、自分自身の主張に対する証拠を捻じ曲げ、都合の良いように解釈したわけではなかった。

彼らは、自分自身の考えに反する事実をあるがままに受け入れたが、そうした都合の悪い事実を無視したわけではなかった。その代り、都合の悪いデータを報告した研究に対して、注意深くその”アラ”を捜しをし、ほぼ適切な批判を加えたのである。

自分自身の考えに反するデータを初めから無視してしまうのではなく、認知的に変換を施して、比較的重要でない価値の低いものに変えてしまったのである。

被験者たちが持っていた期待は、単に不都合なデータを無視するような単純なプロセスを通して、影響力を及ぼすのではなく、相当量の認知的努力を要する複雑なプロセスを通して影響力を及ぼしていることになる。

【Nisbett,R.E.,& Ross,L(1980)Human inference:P14】

【計画錯誤に陥る設計者】

2156450仕事においても上記の事例は巧みな方略として使われる。一旦受け入れるフリをしてアラを探し反証する。それがどんなに違っていても、

一度信じた信念はなかなか覆ることなく、その信念に固執することになる。身近な事例で言えば、コストの合わない設計をしてくる計画錯誤の設計者である。とくにデザインを標榜する建築家やデザイナーにこの傾向は強い。

クライアントの予算を除外視して、計画する際に主観的視点でしか見れなくなり、他人の経験や技術力の基準となる客観的なデータを得ず、自分達の都合のよい解釈でしか見えなくなり、そこからスケジュールや設計計画を立ててしまう。

客観的な手法を持って計画やスケジュールを立てるやり方ができるのは、わずか25%だと言われる。

【計画錯誤:マイケル・J・モーブッサン】

【ギャンブラーの錯誤】

ギャンブラーは、儲けたときのことは良く覚えていて、損をしたときは忘れたり、思い出さないようにしているからだという解釈はあるが、実際はもっと複雑である。

ギャンブラーは。自分が勝った時と負けた時の個人的な記憶を、極めて巧妙に改変していることがわかったという。

賭けに勝った時は、額面通り受け取るが、掛けに負けたときは、その理由を巧妙に見つけて説明づけてしまうことにより、賭けの勝ち負けを個人的に書きかえてしまう。

つまり、賭けの負けは「負け」としてではなく「勝てたはずの」として記憶されることになる。

【自分にとって都合の悪い情報は巧妙に歪んでいく】

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死刑の犯罪抑止効果やギャンブラーの錯誤、設計者による計画錯誤などは、都合の悪い情報を軽んじているわけではなく、自分自身の信念にできるだけ影響を及ぼさないように巧妙に取り扱われるのである。

考えに反する情報を単に無視するのではなく、特に厳密に吟味するのである。その結果、信念に反する情報は、欠陥の多い考慮に値しないものと見なされたり、自分が正しいと思う考えにあまり影響を与えない種類の情報に変換されたりするのである。

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