【予想通りに不合理】価格の力:なぜ一セントのアスピリンにできないことが五〇セントのアスピリンならできるのか

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プラシーボ暗示の力

【 プラシーボ効果 

プラシーボ:Placeboの語源はラテン語の「I shallplease:私は喜ばせるでしょう」に由来している。そこから患者さんを喜ばせることを目的とした、薬理作用のない薬のことを指すようになったのです。

通常、医学の世界では乳糖や澱粉、生理食塩水が使われます。従って、プラシーボ効果(反応)は、このような薬理作用のないものによりもたらされる症状や効果のことをいいます。それはいい場合と(治療効果)悪い場合(副作用)の両面があります。「これは痛みによく効くよ。」といわれて、乳糖を飲んで、痛みがなくなったり、逆に吐き気がでたりすることがあります。

この場合、プラシーボにあたるのが乳糖であり、プラシーボ効果にあたるのが、鎮痛効果であり(治療効果)吐き気(副作用)であるわけです。プラシーボ効果がどうして起こるかについては、次のようなことが考えられる。

  1. 暗示効果
  2. 条件付け
  3. 自然治癒力
  4. その他

 

Kim Jong-il Dead – North Koreans cry hysterically

14世紀には、葬式で死者の為に泣き、涙を流す役に雇われた泣き役を指す言葉として使われた。

参考記事 【金総書記の死を市民があんなにも大声で泣くのはなぜか

【 パーキンソン病患者への実験 

パーキンソン病に対する脳手術にも効果があることが報告されているが、何人かの患者の頭蓋骨にドリルで穴だけをあけ、その後の手技をおこなわなかったが、偽の手術を受けた患者の結果は、手技を最後まで受けた患者と変わらなかった。プラシーボは暗示の力で働く。効果を発揮するのは、人々が信じるからだ。主治医が見ればよくなった気がする。薬を飲めばよくなった気がするのだ。

それでは、暗示はどのようにして影響を与えるのか。

信念と条件付け

プラシーボを働かせる予測は、ふたつの仕組によってつくられる。

① 信念
② 条件付け

信念は、薬や治療や世話をしてくれる人に対する信頼や確信である。条件付けは、有名なパブロフの犬のように、身体は何度も経験すると期待を高めていき、さまざまな化学物質を放出して私たちに先々の心構えをさせるようになる。

Classical Conditioning – Ivan Pavlov

古典的条件づけ

学習の一形態であり、刺激の対呈示によって刺激間に連合が起こり反応が変容することである。レスポンデント条件づけ、パブロフ型条件づけとも呼ばれる。イワン・パブロフの条件反射研究がもとになった理論である。慣れすぎが侮りを生むかどうかははっきりはしないが、慣れは間違いなく予測を生む。ブランド、パッケージ、世話をしてくれる人の「大丈夫」ということばは、私たちを元気にする。

偽薬(プラシーボ)10の研究結果

  1. 偽薬は真の痛み止めになる
  2. 値段の高い偽薬は低価格の偽薬より効果がある
  3. すべての偽薬が薬の形をしているわけではない:儀式による影響
  4. 偽薬は喘息に大きな効果がある
  5. 偽薬の効果は数年にも及ぶ
  6. 鬱に大きな効果
  7. 関節炎にもかなり有効である
  8. 偽手術は本当の手術並
  9. 偽薬でも心不全で助かるチャンスが高い
  10. 偽の鍼治療で体外受精の妊娠成功率が上がる

偽薬効果がある程度効果があると報告しているが、ほんとかどうかまだはっきりしていない。ただ一部では、暗示による効果はあると思います。とくに価格による効果は大きいと思われます。

私も価格をつくる仕事をしていますが、低価格のものと高価格のものでは、その効果が違うことは実感して分かる事です。

価格とプラシーボ効果

本書では、べラドンRxという製薬で、価格によるプラシーボを検証している。

高価格(2ドル50セント)の薬は、実験協力者のほぼ全員が薬による痛みの軽減を経験したのに対し、価格が10セントに下がった途端、痛みが軽減した人はたった半分になったと報告している。

とくに最近の痛みの経験が多い人に、価格による効果がとりわけ強く表れ、より痛みを経験し、より鎮静剤を頼った人では、価格とプラシーボ効果の関係がより強調されたとする。

薬の価格が安いほど、他の人よりもさらに少ない効果しか得られなかったと実験で証明したという。つまり価格は経験を変化させる場合があるのだ。

また表示価格(正価)を支払った人の方が、割引価格で薬を買った人よりも、薬がよく効いたと報告している。

Penn and Teller: Placebo Effect

ペンとテラーによるプラシーボ効果のデタラメな医療実験の様子。白衣を着ることにより、あたかもホンモノの専門家を装い、磁石治療やカタツムリを顔に乗せる美容治療などなんとなく良くなっていると思い込んでいる。またこれらを安易に信じる人々の中には、選択的思考に陥りやすくなり、それに伴う確証バイアスにも嵌りやすくなると考えられます。

 

選択的思考:The Skeptic’s Dictionary 日本語版二千年紀のための懐疑論ガイド

望ましい証拠だけを取り出して論じる一方で、仮説にとって望ましくない証拠は無視するプロセスである。こうした思考様式は、読心術とよばれる超能力を信奉する基礎になっている。オカルトや占星術、ESP、筆相学、精霊との交感などを信奉する大きな原因にもなっている。

確証バイアス:The Skeptic’s Dictionary 日本語版二千年紀のための懐疑論ガイド

最初に抱いた先入観や信念を裏付けるデータを重用して、これに反するデータを軽んじようとする傾向に走り、確証的な情報、つまり自説に有利だったり、自説を裏付けるような情報には、過剰な信頼を寄せる。

王のひと触れ:ロイヤル・タッチ

王の触手療法

国王が病人の患部に手を触れることによって病気を治癒するという奇跡療法のこと。
王の呪術的機能を示すものとして知られる。対象となった病気は瘰癧(るいれき)とそれに類似した病気で,〈王の病いking’s evil〉といわれた。

イギリスでは17世紀のスチュアート朝,フランスでは18世紀のルイ王朝の時代にもっとも盛んに行われ,いずれも儀式化し,チャールズ2世は毎年4000人に,ルイ15世は戴冠式で2000人に触れたといわれる。

ただこうした行為が1820年代まで続いたということは、それによって救われる人々もいたことは事実である。
国内においても、似たような行為が散見される。寺で「塗香」香を塗ったり、通天閣の「ビリケン」など触ったりして、穢れ病気の予防、ご利益などを獲得したいと願ったりする。

【 塗香 】  塗香とは仏像や修行者の身体に香を塗って、けがれを除くこと。仏に捧げる六種の供物の一種。
ビリケン】 日本でも大阪の二代目通天閣にある「ビリケンさん」の愛称で親しまれ、足を掻いてあげるとご利益があるとされていること。

低価格に合わせて品質を差し引いてしまう衝動

人は、値引きされたものを見ると、直観的に定価のものより品質が劣っていると判断する。しかもほんとうにその程度のものにしてしまう。改善策は、価格と品質の関係について気にするのをやめるしかないと本書が実験で証明しているが、気にしないのも難しい場合がある。

マーケティング担当者のジレンマとして、品質は悪くないが、正規価格よりも低価格で捌きたい場合、この解決案は最近、”訳あり商品”として理由づけを作り、品質の低下イメージを落とさず販売面に生かされている。プラシーボは良い意味では、マーケティングの一部や患者の治療に一役買っているが、その利用する側の倫理観が問われる。

暗示や一度ついたイメージは、なかなか払拭するのは大変難しいことを示している。
そして私たちは、それを使おうとする人々を注意深く見ていく必要がある。

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