【予想通りに不合理】扉をあけておく:なぜ選択の自由のせいで本来の目的からそれてしまうのか

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Barry Schwartz: The paradox of choice

選択のパラドックスThe Paradox of Choice: Why More Is Less

選択肢が多いほど自由に選べる可能性が広がり、充実度は高くなるはずだという信奉が現代人にはある。
この発想は自由主義思想とも結びついて世間を席巻しているが、これは幻想だと言う。

シュワルツとウォードらは、

① 何でも最高を追求する性向のある”最大化人間”
② ほどほどで満足する”満足化人間”

がいるとしている。そしてその判定法を考案したという。

最大化人間の特徴は、選択肢が増えるとそれを詳細に検討して、より良いかどうかを確かめないと気がすまないらしく 満足化人間の特徴は、そこそこの選択肢を見つければ、選択肢が増えても気にしなくなるという。

最大化人間は、選択の結果に充実度が低く後悔しがちになり、全体を通じて幸福度が低いことが指摘されている。

■ Matrix Reloaded. Discurso del Arquitecto

マトリックス リローデッド:アーキテクト

マトリックスがネオたちが考えているよりも古い。今のマトリックスは6番目のマトリックスであり、ネオには5人の前任者がいるという。最初のマトリックスは理想郷としてつくられた。機械が人間を支配するだけのマトリックス(悲しみや妬みなど、負の感情がない快楽だけの世界)である。しかし人間はこのマトリックスに拒絶反応を起こし、最初のマトリックスは失敗に終わった。そこで、アーキテクトは人類がマトリックスを拒否しないための対策を施した。人間の持つグロテスクな面を反映させ、つくり直したが、これも失敗に終わる。偶然にも人間の感情、心理を調べるプログラム(オラクル)がこの答えを見つけた。自分で「選択」ができるという「決定権」を人間に持たせた。これにより、実際はすべての結果はコントロールされているとはいえ、人間があたかも自分でその道を選んだように思わせることで、支配されていることを意識しない、意識できないようになる。このため99%の人類がマトリックスを受け入れるようになった。

この寓話は、人にはまったくの選択肢がなければ、不自由さや不信感を抱き、上手くいかないことを伝えている。 ただ上記にあるように、選択肢が多すぎても、迷い決断できないことが、下記の実験で明らかにされている。

■ 選択のジレンマ

複数選択肢があれば、その中からベストなものを合理的に選んで決められるはずのに、逆に惑わされて、正しい決断ができない。どうして?

実験1】 扉ゲーム実験
実験2】 消える扉実験
実験2‘】他にも条件を変える
実験3】 扉が復活する場合

扉を開いて部屋に入り、クリックすると賞金ゲット。部屋によりゲット額変動。移動可。

結果】 それぞれの部屋でテストをして、もっともよい結果が出そうな部屋に戻って、そこでひたすらクリックした。

部屋の移動はできるが、12回分クリックしたら他の扉消滅。
部屋の移動はできるが、12回分クリックしたら他の扉消滅。
部屋の移動はできるが、12回分クリックしたら他の扉消滅。
部屋の移動はできるが、12回分クリックしたら他の扉消滅。他の扉を選べなくなる不安アップ。

結果】 それぞれ部屋に移動して、もらえる賞金を確認するも、ひょっとしたらあっちの部屋の方がいいかも、という心配が増え、ふらふら部屋の移動をし、実験1より賞金額が15%減。 部屋に移動に費用がかかっても、各扉の賞金総額を教えても、練習させても同じ結果。

実験2の条件に、「1回クリックしたら扉復活」という条件を加えた。
実験2の条件に、「1回クリックしたら扉復活」という条件を加えた。
実験2の条件に、「1回クリックしたら扉復活」という条件を加えた。

結果】 結果は同じ。クリック1回で扉を復活させられるのに、あっちへフラフラ、こっちへフラフラ。

  • 選択肢を失うかも、という心配によって、正しい判断ができなくなる。
  • 他の選択肢を残しておきたいという衝動がまずい結果を生むことがある。
  • 恋愛、結婚、買い物、勉強、キャリアなどなどで同じようなことが見られる。
  • 同じくらい魅力がある2つの選択はもっと難。
  • 閉じなければいけない扉は閉じよう:P.259
  • 「決断しないことによる影響」考えよう:P.261
  • 結局「選択と集中」をしましょうよ。コイン投げで決めたとしても。

参照元 【『予想どおりに不合理』8章「扉を開けておく」

■ 選択肢が多すぎるときに起きる心理的バイアス

① 価値のない選択肢に惑わされ、消えかけているチャンスや、興味のないチャンスを追いかけたいという衝動。
② 価値ある選択肢であり、消えかけている選択肢があるのに、それに気が付かない。
③ 失う恐怖心からそれに耐えきれず、選択肢の無くなる事を防ぐために、ストレスと不経済な行為に走る。
④ 有望そうな選択肢は、すべて持っておきたいという不合理な衝動を抱える。

決断しないことに対するリスク

ものごとの類似点やわずかな相違点に注目していたとき、忘れやすいこととすれば、決断しないことによる影響を考えに入れないことである。

笹子トンネル天井板落下事故:笹子トンネル事故、発生直後映像=視聴者提供

笹子トンネル天井板落下事故:事故の原因

笹子トンネルの詳細検査において、天井板を固定する金属ボルトの異常を検知する打音検査については「目視で異常を確認した場合」にのみ実施する運用としていたこと、打音検査は2000年以降実施していないなどの実態が警察の調べで明らかになっている。中日本高速道路の点検マニュアルは、日本道路公団を前身とする高速道路三社により共同作成されたものだが、その中では「詳細点検」について「個々の構造物の状況を細部にわたって近接目視・打音等により行う」と定義されていた。しかし同社は、「定義は大まかな定め」であり、目視のみの検査が「マニュアルを逸脱していたとは考えていない」という。

● 笹子の事故を通して

最近の国内事例では、笹子トンネル天井板落下事故では、事故後の検査で下り線では、つり金具のアンカーボルトの脱落やゆるみなど670以上の不具合が確認され、これは他のトンネルに比べ飛び抜けて多い数字が報告されている。道路を管理し管轄する側は、事故前は点検を簡略化(手抜きに近い) し、十分な老朽化対策を先延ばしした結果、失われた人命のことを考えていなかった。 そしてその後事故が起こった後の様々な影響を考慮せずに、人命よりも効率と組織の秩序、マニュアルなどに従った。そして最良な選択肢を自ら閉じ決断を避けた (大規模に予算と人員を掛けて改修工事の実施) 結果事故へと繋がった。

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参照記事 【高度成長期の道路やトンネルが危ない!「コンクリート劣化」の恐怖】 
参照画像 【Minimalism and the Paradox of Choice
参照画像 【The Paradox of Choice: A theory loses favor
参照画像 【The Paradox of Choice
参照blog 【最適な選択とは何か