【予想通りに不合理】高価な所有意識:なぜ自分の持っているものを過大評価するのか

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保有効果

保有効果とは、自分が所有するものに高い価値を感じ、手放したくないと感じる心理現象のことをいう。

授かり効果:endowment effect

合理的な交渉を妨げる心理バイアスの1つ。自分の持っているものを高く評価し、手放したくないと考えること。 自分がすでに持っているものを高く評価してしまうのは、それを失うことによる損失を強く意識しすぎてしまうのが一因とされる。一連の情報の中で最初のもの、あるいは過去の最良のものを基準におき、判断してしまうこと。 人間は過去の情報に引っ張られやすいという性質による。

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不合理な心理バイアス3つの奇癖

① 自分の持っているものに惚れ込んでしまう
② 手に入るかもしれないものではなく、失うかもしれないものに注目してしまう
③ ほかの人が取引を見る視点も自分と同じだろうと思い込んでしまう

奇妙な所有意識とその後に訪れる勝者の呪い

なにかに打ち込めば打ち込むほど、それに対する所有意識が強くなる。家具を自分で組み立てたときのことを思い出してみよう。 どの部品がどこにはまり、どのねじがどの穴に合うのか見つけだすことが、所有意識を高める。(イケヤ効果) またオークションで落札できると思い込み、入札額が吊り上がるとき、入札者は仮想の所有意識を強め、もっと高い金額を入札する。最高入札者の立場は危うく、自分が所有者だと感じると、その立場を失わないように、しかたなくどんどん高い額を入札することになる。仮に勝利を収めても、最初に考えている価格とは明らかに相違し転売を画策していた場合、勝者の呪いも付きまとうこともあり得る。

勝者の呪い

勝者の呪いとは、オークションにおいて構造的に生じる現象。国債入札、掘削権オークション、不動産競売などのように、 共通価値のオークションにおいては、各プレーヤーがこの転売時の市場価格を予め知ることができず、 各自推定しなければならない。後で決まる商品の転売市場価格を上回った推定をしていたプレーヤーが往々にして落札する(勝者となる)。「勝者」である落札者は、商品の共通価値を上回る推定額を出したために落札することができたものの、その価格は転売市場価格を上回っているため、転売することで損失を被ってしまう。このことを「勝者の呪い」という。

仮想の所有意識

この意識は、広告業の推進力となっているが、例えば幸せそうな夫婦がBMWを颯爽に乗るのを見て、自分の姿を想像する。販売促進にもこの罠が仕掛けられている。ひとつの例は、「お試し価格」であり、もうひとつ例は、「30日間返金保証」である。また上記のサービス( この場合罠とする ) 購入して、あきらかに自分では失敗と思い回収できない商品を処分する場合、埋没費用の問題もつきまとう。

埋没費用:参考例

ある映画のチケットが1800円であるとする。しかし映画が余りにもつまらない時、1800円払った映画を見るべきか、それとも映画館を出て残りの時間を有効に使うかが問題となる。

  • 映画を見るのを止めた場合:チケット代1800円とそれまでの上映時間は失うが、残った時間を有効に使うことができる。
  • 映画を見続けた場合:チケット代1800円に加え、約2時間(上映時間)を失う。

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この場合、チケット代1800円と退出までの時間が埋没費用となる。この埋没費用は、どの選択肢を選んだとしても回収できない費用である。このとき、時間を浪費してまで、つまらないと感じる映画を見続けることは経済学的に合理的な選択ではない。

一方、残りの上映時間を有効に使うことは合理的な選択であるといえる。しかし、多くの人は「1800円がもったいない。元をとらなければ」などと考え、つまらない映画を見ることに時間を浪費してしまいがちである。

 

所有意識は物質だけではない

所有意識は物質だけでなく、ものの見方にも影響を受ける。政治に関することであれ、スポーツに関することであれ、なんらかの思想の所有権を得たら、おそらく後生大事にし、本当の価値以上に高く評価するだろう。 もっともありがちなのは、その思想を失うことに耐え切れず、なかなか手放さなくなることだ。その結果、残るものは何か。かたくなで柔軟性のないイデオロギーであり、地位や権威もこれに当てはまる。

所有意識から逃れるには

所有意識という病を治す既知の方法はないと説く。ただ逃れられないことを認識することはできる。しかし既存で持っている優れた所有物を変えてしまうと、並大抵のことではもとに戻せない。所有意識によって見方が変わってしまい、以前持っていた物に戻ることが、急にどうしても我慢できない損失に思えてしまう。生活の質をあげながら、いつでも低い生活に戻れるという空想にふけってしまうこともあるが、現実には戻れない。小さい家に格下げするのは、損失と感じ、心理的な苦痛を伴う。

Japan: America’s Lost Decade

バブル経済下の日本でも、このままではまずいと感じながらも、その高い生活水準を保つために、実体のついてこない投機に走り、いつまでも株式を保有 ( 売買を繰り返し ) しつづけ、賢明でない投機家が逃げ遅れる傾向が続いた。

個人的にやれることは、どんな取引でも ( とくに大きい取引は) あえて自分と品物のあいだにある程度の距離を置いて、出来るだけ自分が非所有者であるかのように考えることを提案している。

私自身がやれたことと言えば、マイカーを手放し、カーシェアリングしたりその他様々な暮らしの見直し ( 買わずに借りる ) を実践している。非常に所有意識に悩まされたが、いざしてみると、そんなに必要でもなかったので、今は所有しているよりもコストが軽くなりより経済的になれた。それはこれらの所有のバイアスを意識し、克服する気持ちを持てたからと言える。

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