【影響力の武器を武器にする】 第1章 影響力の武器

[`buzzurl` not found]
Pocket

 

スポンサーリンク

影響力の武器

● 自然環境のなかで動物の行動を研究するエソロジスト【動物行動学】は、多くの種の動物の行動が固定的で自動的なパターンとして生じることが多いことに気がついていた。固定的行動パターンと呼ばれる。こうした行動の連鎖は、人間の自動的反応 カチッサー効果 と類似している点で注目される。

カチッサー効果】 心理学者エレン・ランガーが実験を行い、被験者がコピー機の順番待ちの列の先頭へ行き3通りの言い方で頼む。

● 要求のみを伝える「すみません、5枚なのですが先にコピーをとらせてもらえませんか?」

● 本物の理由を付け足す「すみません、5枚なのですが急いでいるので先にコピーをとらせてもらえませんか?」

● もっともらしい理由を付け足す「すみません、5枚なのですがコピーをとらなければいけないので先にコピーをとらせてもらえませんか?」

この場合、要求のみのときの承諾率は60パーセントであるのに対し、本物の理由を付け足したときの承諾率は94パーセントであった。しかし、もっともらしい理由を付け足したときでも、承諾率は93パーセントに達した。人に何かを頼む時に単に「●●してもらえますか?」と言うよりも●●なので、●●してもらえますか?」と理由をつけると承諾されやすい。

ささいな頼みごとの場合は、頼みごとの内容とあまり関係のない理由、こじつけでも承諾されやすい。 人間もそれ以外の動物も、その自動的な行動パターンは、状況内にある関連情報の単一の特徴によって引き起こされる傾向がある。この単一の特徴すなわち引き金特徴は、それがあることによって状況内のそれ以外の情報を逐一慎重かつ完璧に分析することなしに一連の正しい行動を決定できるので、大変貴重なものとなることが多い。

Flight-Deck-2-Cropped

 

【機長症候群:Captainitis】

リーダーの言うことに押し切られて議論や反論を止めてしまい、好ましくない結果を招いてしまうこと。 リーダーが優秀な場合、フォロワーが自律的に考えたり、議論することをしなくなり、盲目的にリーダーに追従した形になってしまいがちなことである。優秀なリーダーだけではなく、斯界の権威や第一人者の指示に対しても、自分自身で意思決定することを放棄しやすいことが示されている。 できるリーダーと周りから言われる人間は、どんどん自分でアイデアを出し、次々と意思決定を進める人間が多い。

しかし、リーダーが優秀であればあるほど、そうしたスタイルは、実は部下を「考えない」方向へと向かわせ、スポイルしている可能性がある。特に会社において上司は、権威と同時に権限を持つ立場の人間である。機長症候群がもともと生じやすい素地があるといえる。自分の影響力を正しく把握し、権威は保ちつつも、フォロワーを思考停止に追い込まないコミュニケーションスタイルが求められている。

【一言メモ】 たしかに強力なリーダーシップは、ときに良い方向に向かうこともあるが、そのリーダーシップ自体がついていく者の能力を著しく後退される場合がある。歴史上見ても、この事例は枚挙に暇がない。大抵優秀とされる指導者などは、当初からカリスマ性と独裁性を併せ持っていることが多い。そしてほとんどが内部から崩壊するか、トップ自ら失脚するか、あるいはその両方である場合が多いのが残念ではある。

Ford Sportka Commercial -Bird HQ

フォード・Ka】 初代のスポーツモデル、SportKaに対して、イギリス等の一部の国では、奇抜なテレビCMが用いられていた。 これは、車の鼻先に鳥が飛び乗った瞬間、突然ボンネットが開き、鳥を跳ね殺したり、別の作品では、車のルーフ部に上って来た猫の首をサンルーフで切断する、といったもの。

但し、これらの画像処理にはCG合成が使われ、動物は死んでいないという。共にタイトルコピーは、”The Ka’s Evil Twin” 【Kaの、性悪な双子の弟】であった。また、この車種の広告ウェブサイト(後に閉鎖)も、悪魔のイメージがふんだんに活用されていた。この広告キャンペーンは、地元のインターネット掲示板等を中心に、メーカーであるフォードへの非難や疑問が多く寄せられた。

【一言メモ】 ここまでやれば、影響力はかなりのものだが、使い方を間違えると、商品自体が売れなくなるばかりか、ブランドイメージを自体を損なうことになる。奇抜なマーケティングテクニックだけでは、売れることは無い。

影響力の原理による”だまされるメカニズム”

振り込め詐欺に共通する犯行原理は、困惑する被害者に即時の行動を要求するというものである。例えばオレオレ詐欺では、親族や知人が突発的な危機に巻き込まれているとし、還付金詐欺では還付の期限が間近であるか既に経過しているとし、融資保証金詐欺では窮状にある被害者に保証金の支払を融資条件とし、架空請求詐欺では提訴・財産差し押さえや、サービスの利用内容(出会い系サイト利用やアダルトグッズ購入歴)を勤務先や家族へ連絡するとし、被害者に他者への相談や冷静な判断をさせないように、即時の対応を求める。

突然重大な決断を迫られる被害者は、妥当な判断を下すための客観情報を収集する余裕がないため、状況を主導する犯人側の言い分に依拠せざるを得ない。

そのため、犯人側の言動に疑念がわいたとしても「万一本当のことを言われているのであれば、取り返しがつかない」と判断し【一種のヒューリスティック:簡便な思考方法】被害に遭ってしまう。【返報性】は、会社の金の使い込みで解雇や逮捕の危機にある息子を、300 万円の埋め合わせで助けてやるという課長や先輩の提案は、先方も一定のリスクを引き受けることを意味するため、その願ってもない申し出には、親として 300 万円支払うという行動で応えるべきであるという圧力に対応する。

また【知覚のコントラストの観点からも、息子の失業と逮捕に比べれば 300 万円は安いという被害者の判断が理解できる。

資料参照 振り込め詐欺の理解と予防に向けて:鈴木 護;4.被害の背景と対策(PDF)

架空請求に狂言で答えるツワモノ

架空請求詐欺架空請求詐欺(かくうせいきゅうさぎ)とは、架空の費目で請求を行い金品をだまし取ること。

ただしく理解して行使することで、偽物が炙り出される

● 承諾の過程 ( ある人が行う要請に対して別の人がそれに従うように促される過程 ) の多くは、自動的な簡便反応を行おうとする人間の傾向によって理解することができる。私たちの文化の中では、大多数の人が、承諾を導く引き金特徴 ( どういう場合に応じるのが正しく、また利益になるか教えてくれるような一連の情報 ) をもつようになってきている。これらの特徴を (影響力の) 武器 のように使って、人々を承諾するように導くことが可能である。

スポンサーリンク