【影響力の武器を武器にする】 第2章 返報性―昔からある「ギブ・アンド・テーク」だが…

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返報性―昔からある「ギブ・アンド・テーク」だが…

● 人間文化の規範の中で最も広範囲かつ基本的なものの一つに返報性のルールがある。 このルールは、他者から何かを与えられたら自分も同様に与えるように努めることを要求する。 返報性のルールは、行為の受け手が将来それに対してお返しをすることを義務づけるので、人は自分が何かを他者に与えてもそれが決して失われるわけではないことを確信できる。

このルールに将来への義務感が含まれることによって、社会にとって有益な様々な持続的人間関係や交流、交換が発達することになる。 したがって、社会のメンバーはすべて、このルールを忠実に守るべきこと、守らないと重大な社会的不承認を被ることを子供のころからたたき込まれる。

返報性のルールふたつの方法

● 他者の要請を受け入れるか否かの決定は、しばしば、返報性のルールによって影響を受ける。 承認誘導の専門家が好んで使う儲けの手口の一つに、最初に何か与えておいて、相手からお返しを求めるという方法がある。 このやり方が功を奏するのは、返報性のルールに含まれる三つの特徴による。

  • 第一に、このルールは、極限までに強力な力をもっており、普通は要求を受け入れなるか否かを決めるはずの諸要因の影響力を凌駕してしまう。
  • 第二に、このルールは、望もしない好意を最初に相手から受けた場合にも適用されるので、借りを作るなら誰にしたらよいかを、自分で選ぶことができなくなり、その選択を他者の手に委ねることになる。
  • 第三に、このルールによって不公平な交換が導かれることがある。恩義という不快な感情を取り除こうとするために、人は親切さを施された相手から何か頼まれると、お返しにそれ以上の事をしてあげることが多い。

2568978540 返報性の原理

返報性の原理は、人間の持つ心理のひとつ。通常、人は他人から何らかの施しをしてもらうと、お返しをしなければならないという感情を抱くが、こうした心理をいう。原理を利用し、小さな貸しで大きな見返りを得る商業上の手法が広く利用されている。

高額商品を勧めて断られた後に、低額商品を勧めると客は断りにくくなる心理が生ずる。高額商品を売ることを諦めて低額商品に切り替えるという相手の譲歩に対して、こちらも譲歩しなければという心理が働く、返報性の原理による。この心理を応用した交渉術を「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」(譲歩的依頼法)と呼ぶこともある。

● 返報性のルールのルールで承諾を導くもう一つのやり方として、この基本的テーマの単純なヴァリエーションがある。最初に恩恵を与えてその見返りを期待する代わりに、最初に譲歩して、そのお返しとして相手の譲歩を引き出すのである。 これが「拒否したら譲歩」法あるいはドア・イン・ザ・フェイス・テクニックと呼ばれる手続きであり、相手の譲歩に返報しなければならないという圧力に依存するやり方である。

確実に拒否される極端に大きな要請から始めて、次にそれより小さな要求に引き下げる。 そうすると、要求の引き下げが譲歩に見られるため、小さな要求を受け入れる傾向が強まる。

Why was important to take Czechoslovakia before WW2

 

ミュンヘン会談 ミュンヘン会談とは、1938年9月29日から30日にかけて、チェコスロバキアズデーテン地方帰属問題を解決するためにドイツミュンヘンにおいて開催された国際会議。

イギリスフランスイタリア、ドイツの首脳が出席した。ドイツ系住民が多数を占めていたズデーテンのドイツ帰属を主張したアドルフ・ヒトラーに対して、イギリスおよびフランス政府は、これ以上の領土要求を行わないとの約束をヒトラーと交わす代償としてヒトラーの要求を全面的に認めることになった。

1938年9月29日付けで署名されたこのミュンヘン協定は、後年になり第二次世界大戦勃発前の宥和政策の典型とされ、一般には強く批判されることが多い。 研究によると「拒否したら譲歩」法を使うと、相手がイエスと言う傾向が強まるだけでなく、相手がその要求を実行し、将来と同じような要求に同意する傾向が強まる。 こうして、チェンバレンたち連合国側首脳は、結果的にアドルフ・ヒトラー率いるナチスの軍事力による承諾誘導の外交戦略の罠にはまり、世界大戦を引き起こす要因のひとつとなった。

再定義と未然に気づくことの重要性

● 返報性のルールを使って私たちの承諾を得ようとする人に対する最善の防衛法は、他社の最初の申し出を常に拒否してしまうことではない。 むしろ、最初の好意や譲歩は誠意をもって受け入れ、後でトリックだと分かった時点で、そのトリックと再定義できるようにしておくことである。 そのように再定義することができれば、受け取った好意や譲歩を返さなければという気持ちになることはないであろう。

一言コメント: 結論としては、大きな要求後の小さな要求における承諾誘導と感じたら、相手の立場に身を置いて、”なぜ要求してくるのか”を自問し、自分の内なる声に摺り合わせ“おかしいと気づくこと”である。

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