【神話と寓話】 人間にはどれだけの土地が必要か?

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小作人のパホームは一生懸命働いてきたが土地がなく 「土地さえあれば 怖いものは何もない。悪魔だってこわくない」と言ったのを暖炉の後ろで一匹の悪魔が聞いていて考えた。

「お前と勝負してやろう、地面でおまえをとりこにしてやろう」と。 パホームは土地を買おうと思い立ち、妻に留守番を頼んで、早速下男を一人連れて旅立った。パホームはこの肥沃な土地を買いたいといったら村長は、一日分千ルーブリでお売りしましょう!と言った。

どういう意味かと言うと気に入った土地の一点から歩き出し、土堀りでところどころ掘って木の枝や小石でしるしをつけ、一日中で歩き回った分を千ルーブリで差し上げると言う。

ただし、日が沈む前に 出発点に帰ってこないとそれらはふいになると言った。 翌朝朝早く目覚めるとパホームは少しでもたくさんの土地を手に入れようとパキシール人を起こした。「さぁでかけましょう、もう時間ですから」草原に来ると曙が始まった。丘の上に立つと村長はかぶっていた狐皮の帽子を脱いで地面に置いた。

「さぁ、これをしるしにしてお出かけください。そしてお回りください。そして ここへお帰りください。廻られたところは全てあなたのものです」パホームはあたりを見回した。 どの方向に進んだものかと思案した。どちらも素晴らしい土ばかりだったから。

空の端から太陽が踊りだすと 土堀りを持って水筒やパンの袋も持って靴紐を締めなおし草原目指して歩き出した。歩いているうちに体が熱くなったので チョッキを脱ぎ歩きやすいように靴を脱いだ。さらに歩いているとさらに土地はよくなって曲がるのが惜しいくらいだ。

ふと振り返ると陸の上に立っているパキシール人たちは蟻のように小さく見える。もうこのあたりで廻らないと離れすぎると思ってもしっとりとしたくぼ地があると見捨てるのが惜しいくらいだ、とまっすぐ進みくぼ地を取り込んだ。

太陽を仰ぐと傾きかけて丘からずいぶん離れている。 「これはいけないぞ、地面の形は歪んでも まっすぐに急がなきゃならん、これで十分だ」 パホームはまっすぐ丘の方へ曲がって進んだが、苦しくなってきた。体は汗でぐっしょり、はだしの足は切り傷だらけでやすみたいと思ったがそれも出来そうになかった。

日の入るまでに丘につけそうになかったから。 「あぁ、しくじったんじゃないかな。欲張りすぎたんじゃないかな、もしも間に合わなかったらどうしょう!」 太陽は容赦なく落ちていく。こうしてパホームは、苦しかったけれどもますます足をはやめた。行っても行っても先は長かった。

不安いっぱいになってパホームは駆け出した。チョッキも水筒も腰にくくりつけていた靴も全て投げ捨て、ただ土堀りだけを持って必死に走った。 「あぁ、俺は欲をかき過ぎた万事おしまいだ、日の入りまでにとても帰り着けそうもない」 心臓が早鐘のように打ち、パホームはただ走った。丘の上でバキシール人がパホームに向って 金切り声を上げたりさけんだりしている。パホームは最後の力を振り絞り、無理矢理足を動かせた、太陽の端は沈みかけもう一方はアーチ型になって沈もうとしている。

突然辺りが暗くなった。 「俺の骨折りも無駄になった」と思ったが丘の上でバキシール人がなにやら喚いている。まだ丘の上では日が沈みきっていないと気がついて丘を駆け上がった。駆けつけると同時に帽子の前に座っている村長を見た。 前のめりに倒れながらも帽子を掴んだ。 「やぁ、えらい!」と村長が叫んだ。

「土地をしっかりお取りなさった!」 パホームの下男が駆け寄ってパホームを抱き起こそうとしたが彼の口からはたらたらと血が流れ、すでに息絶えていた。下男は土堀りで頭から足までが入るように、きっかり3アルシン ( 数メートル四方 ) だけ、パホームのために墓穴を掘った。 そしてそこへ彼を埋めた。

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