【 食糧の帝国:食物が決定づけた文明の勃興と崩壊 】 新しい大食の潮流と 豊かな食糧主権へ より良い未来に繋げるための 6 つの提案

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肥満と飢餓は食のグローバル経済において起こる

 

洗練された美食という新しい大食漢

今日の先進国では、新しいタイプの大食いの潮流が生まれているという。有態に言えば、過剰なほど洗練された美食を大義としている風潮である。新たな大食を推進する健啖家は、高級の名の元恐るべきほどの美食を以て、私達市民に新しい大食漢の定義を印象付けようとしている。

著者はこの書籍を通じ、食はファッションではなく、食とは個人にとっても文明にとっても、生き残るために不可欠なものである。また、食を自己主張するための道具にするばかりではなく、現代が直面している重大な危険を見えにくくしている問題に焦点を充てることによって、新たな提案を示している。

そこで今回は、それらの提案を 7 つの面から記していきたい。

詳しい内容を知りたい方は 【 食糧の帝国――食物が決定づけた文明の勃興と崩壊 (ヒストリカル・スタディーズ)】 
を参照されたし。

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肥満と飢餓を生み出すシステム~食糧の帝国とは

過去において食糧の帝国は膨張する

 

食糧の帝国は、貿易をとおして都市文明を存続させ、支えてきたのであり、特化型の農場を結ぶネットワークである。

現代人は、増量剤でかさ増しされた粗悪な加工食品に慣れ、窒素が混入した水を飲み、ホルモンが混じった肉を飲み込めるようになった。食品マーケティングは秀逸で、色鮮やかなトマトがちりばめられたサラダに、溶けたチーズがしたたるバーガーのイメージを人の心に植え付けるという。

広告会社の戦略担当者は、巧妙なプロットを構想し、ワクワク感のある新製品を意外性のある形で大衆に提案するが、どの食品にも日持ちを良くするために水素化されたコーン油や果糖が使われている。

現代のよろめき始めた食糧システムは、飢餓の代わりに、まず栄養がなくてカロリーばかりある安価な食品を大量に供給し、食の多様性、健全さ、風味の欠如をごまかすだろう。

先進国では、大量の肥満が生み出され、発展途上国では飢餓を大量に発生させ、その後突然崩壊を迎えるかもしれないと注意を促している。

食料問題は決して他人事ではない

現在の食料システムが危険にさらされていることが、最近あきらかになってきている。
現代人の頭のなかにはすでに時限装置付きの問題で溢れているからである。

2009年、英国政府の首席科学顧問は、2030年までに世界の人口は83億人を突破し、食料需要は50%、水の需要は30%増加すると語り、「最悪の事態になるだろう」と述べている。2050年までに世界の穀物消費量は56%増加し、家畜の消費量は90%も増加すると見込まれている。

肥満はまさに現代の病である

現在の食糧システムは、歴史だけでなく、アグリビジネスには、ブラジルの干ばつを中国の帳簿の赤字に変換し、それをニュージャージーのショッピングカートに変える潜在的能力を有している。もはや有事の衝撃を吸収できるだけのゆとりは残されていないと著者は指摘する。

米国の農務省は、2080年になるまでに地球上で食糧が手に入らない人が最大であと1億7000万人増加すると予測している。

近い将来、石油生産がピークに達し、油田が枯渇すれば、化学肥料を製造できなくなり、作物の収穫量は半減すると見られている。約30億人が、日々の糧を失う計算になるという。

地球温暖化は、食糧価格を上昇させる。人間は預言者としてはお粗末であり、2007人には先進国のほぼすべてのエコノミストが翌年の食糧危機を予測することはできなかったと指摘している。技術がいかにすすんでも、土壌、種子、水、日光の限界をなくすことはできなかった。人間は温室を作り、DNAを操作するが、自然そのものを創ることはできず、自然を模倣しているだけという。

人間が農業の方法を変えない限り、問題は悪化の一途をたどるだろうと伝えている。

植民地的搾取のグローバル経済で代償を払わされ続けている

工業化された農業は人類を楽に養ってくれたが、それが永遠に続くわけがない。

グローバル経済は、その性質上、例えば中国北部のちょっとした環境の異変が食糧価格の悲劇的なまでの高騰を引き起こしかねない。こうした経済ゲームでかならず割を食らうのはアフリカだと見られている。その証拠に、2008年の比較的軽度の食糧危機でさえ、アフリカはまっさきに外国の輸出削減に苦しんだという。

危機が訪れた場合、欧米諸国の政府は有権者の手の届く範囲に食料品の価格を抑制しようと必死になり、多国籍の食糧企業を使って熱帯地方の農民の賃金を引き下げようとするだろうと見られている。

ローマ人が奴隷を配置した属州のプランテーションを好んだように、植民地的搾取は、テロと戦争を誘発しかねないと言う。どんなに農業関係者が、省エネ方法を用いて農のシステムを維持しようにも、いずれは衰退してしまうと著者は伝えている。

より良い未来に繋げるための 7 つの提案

1. スローフード運動においての新しい啓蒙

 

人々に食品へのこだわりを芽生えさせたという意味で正しいと著者は伝える。

小さな変化を個人で起こすことにより意識が変わってくることを見逃してはならない。それこそ衛生状態について、株価の変動やサッカーのスコアと同じぐらいの関心を引き付けるようにしなければならないと言う。

2. 持続可能な農業振興の啓蒙

持続可能な農業の振興と税制上の優遇措置に向けて動き出すことが本質であるが、個人でできる事と言えば、備蓄用の貯蔵庫を一杯にしておくことだという。

全世界が娯楽よりも食糧を必要とする日に頼れる経済計画を立てておくことが重要である。
一年は飢えをしのげるようにしておけば安心ではある。

少なくとも、最初の干ばつや災害で生き延びる助けとなるだろうと指摘している。

3. フェアトレードを効果的に推進する

すべての人が食糧と必要最低限の賃金を得る権利があるという革新的な原則を導入するこの仕組は、食糧帝国の行き過ぎを抑制する上で教訓になる。

有機栽培は農地から化石燃料を削減しており、うまくいけば、土壌の栄養素が再生され、自然を真似た農業ができるようになる。この発想は非常に大事だ。

4. バイオリージョナリズムを実践する

持続可能な食糧帝国は、農場の大半が小規模で、多様な農作物を育て、あまり距離の離れていない顧客に販売する場合にかぎって成立するという、この考えがバイオリージョナリズム ( 生命地域主義 ) と呼ばれる考え方である。

これだけでは世界の70億人を確実に養うことはできないが、リスクを分散させるために、グローバルな取引ネットワーク内に組み込んでおくべきであると著者は主張している。

グローバルとローカルの食糧はたがいに欠点を補い合うことができるという。ローカルな食糧はエネルギーを節約でき、遠隔地の災害からの影響を受けにくい。

一方、グローバルの食糧は経済効率が高く、様々な材料をいっぺんに集めることができる。グローバルなシステムが必要なのは、地域が農産物を特化できるようにするためである。

グローバルとローカルの食糧の組み合わせは、バイオリージョナリズムを組み込んだバランスの良いシステムが、現在の食糧帝国と調和のとれた持続可能性のある最良の道と説いている。

5. 各国政府を動かす潮流を仕掛ける

国民全員に栄養ある食事をする権利を与えることと、気候変動の影響に対応できる仕組みにおける農場は、多様な農産物を手掛けるリクスヘッジをする必要がある。

農業資材、輸送、使用するエネルギーに課税すること、食糧の安全保障について考えるうえで議論するべきと説いている。そうすると、不作が三年程度続いても生き延びられるだけの食糧を備蓄しておけるインフラの整備の投資に充てる事ができるからだ。

6. 自らの手で小さな食糧帝国をつくる

地域農業への取り組み自給自足の考えは重要である。

 

地域支援型農業、農産物の直売所、家庭菜園。こうして小さな一歩が食の安全保障を高める道になる。都市の周辺部で家畜を飼い、夏は放牧し冬は地元の干し草で飼育する。

自然農法で農場を運営するのは、人件費をはじめとして高くつくだろうが、必ずしも悪いことではなく、田園地帯では、農場で働くことが割のいい仕事になってくるという。

消費者は、地域支援型農業プロジェクトで一定の割合の収穫物や間引きされた作物を購入し、こうした農場を支援する。依然としてパンや米、トウモロコシなどは遠く離れたプランテーションから購入する必要はあるが、徐々に依存率を減らし、農場運営主体の食糧主権になってくるだろうと伝えている。

小さな帝国を地域につくること地道な労働と意欲をもつこと

 豊かな食糧主権へ地域農業を中心とした 6 つの提案

 

テクノロジーでは食糧システムを救えないかもしれないが、地道な労働と意欲はいつの時代でも有効である。

農業では、注意深い観察と試行錯誤、骨の折れる労働が大切であり、新石器時代の農耕革命からカルフォルニア式のトマト栽培の考案に至るまで、大きな躍進はどれも注意深い行為のすえに生まれたものだった。

現在の農業にとっての武器は、上記 6 つのような教育と周到な計画、そして責任ある統治である。規制や制限には心躍ることはないし、まして有害な化学肥料の使用制限に賛成票を投じるようなわくわく行為はない。濃縮タイプのオレンジジュースを買うなと消費者を説得するのは難しいかもしれないが、小さな一歩が重要である。

自然な農産物を地元から調達し、近隣の地域でつくられた食料品だけを販売するという原則で成功している地域も出始めている。これからの小規模の生産者は、消費者に売る場所さえも確保すること、この小さな食糧帝国 (単純かつ効率的で持続的な方法) 自ら創り上げることが重要である。

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