【 ブラックストーン 】 プライベート・エクイティ 価値の創造者かあぶく銭稼ぎか 企業を買収しリストラする彼らは 社会にとって必要か

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SIEGE OF LEIDEN

 

金鉱脈を掘り当てた創業者たち

創業者であるスティーブ・シュワルツマンは並々ならぬ自信家であって、リーマンでの新規案件においては天賦の才があったようである。”目論見書の資本構造を見て、どれほどのリターンが出るかを悟った”と後年語っていて「こいつは新たな金脈だ」と感じたそうだ。LBOの仕組を示すロゼッタストーンのようなものだったという。

【 ブラックストーン 

世界最大の投資ファンド運用会社である。リーマン・ブラザーズを退職したピーター・G・ピーターソンとスティーブ・シュワルツマンによって1985年に設立。最も大きな上場株投資会社の一つである。バイアウト・ファンドだけにとどまらず、不動産ファンド部門、オルタナティブ投資ファンド部門、財務アドバイザリー部門の4つのセグメントからなっており、運用資産1191億1500万ドル(2010年現在)に及ぶ総合オルタナティブ投資会社となっている。

さらに詳しい内容は 【 ブラックストーン  】 を参照して頂きたい。

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レバレッジ・バイアウト

レバレッジ・バイアウトという概念は、高度な金融工学の産物でもなければ、インチキでもなかった。例えばローンで買った家を売却した経験のある人ならだれでも、基本的な仕組は理解できるという。

10万ドルの現金で家を買い、その後12万ドルで売却したとしよう。利益率は20%だ。一方、2 万ドルの手付金だけを払い、残りの 8 万ドルは借りたとしよう。それを 12 万ドルで売却したら、債務返済後に残る 4 万ドルは元手の 2 倍ということになる。利子コストを考慮しなければ、利益率 100 %である。

LBOも原理は同じという。ただ、住宅を買った人は、自分の給料その他の収入からローンを返済しなければならないのに対し、LBOの場合、投資会社は出資 ( 手付金 ) さえしてしまえば、借入金は買収された会社が返済する。

つまり買収資金を借り入れるのは LBO 会社ではなく、買収される会社なのである。このため LBO 会社が目をつけるのは、買収のために背負った借金の利子を払えるだけの収入があり、しかも企業価値が高まる見込みがある会社である。

金融の門外漢に最も分かりやすい例えを使うとすれば、賃貸料でローン返済も固定資産税も維持管理費も賄える収益物件を狙うわけです。

LBO の対象となった企業は、大幅な税の軽減が受けられる。すべての企業は債務の利子は経費に計上できる。大量の債務を抱えた企業の場合、利子を利益を上回ることもあり、そうすると法人税はごくわずか、もしくはゼロになる。

つまりレバレッジ・バイアウトという特殊なタイプの企業金融に、納税者が多大な補助金を出していると本書では説明している。

たしかにそのやり方であれば、物件の目利きが重要となるし、その後の経営改善にどうマネジメントしていくかなどを考えていけばいい。だたそうした際にも才能と実践力は必要で、なかなか出来るわけでもない。そうした投資会社の物語である。

【 レバレッジド・バイアウト 

LBOとは、主としてプライベートエクイティファンドなどによる、買収先の資産及びキャッシュフローを担保に負債を調達し、買収した企業の資産の売却や事業の改善などを買収後に行うことによってキャッシュフローを増加させることで負債を返済していくM&A手法である。少ない自己資本で、相対的に大きな資本の企業を買収できることから、梃の原理になぞらえて「レバレッジド・バイアウト」と呼ばれる。

ふたりのコンビネーション

投資ファンド運用会社のイメージで乗っ取り屋といえば、オリバー・ストーン監督の「ウォール街」であろう。

金に貪欲で人に対して冷酷な投資銀行家、ゴードン・ゲッコーと強い上昇志向の若手証券マンの物語をイメージする人も多いだろうが、こうした手法はあまり見られない。

Wall Street_Gordon Gekko

ピーター・ピーターソンとスティーブ・シュワルツマンによる巧みな協同は、仕事の役割分担は秀逸である。

ピーターソンは様々な魅力のある人物であり、誠実で信念があり、その話術は皮肉っぽいウィットが効いた人間で、金にはさほど執着はない男で、どこか浮世離れしている人物だという。

ピーターソンは、大局的判断と思慮深さが武器なのであろう。この二人は、顧客を口説き落とす際にも、ピーターソンがCEOの関心を引き、シュワルツマンが釣り上げる。

シュワルツマンの武器は、斬新な戦略を立案する能力と取引の細部まで精通していることであり、買収資金のために新株や社債を発行する方法や、CEOが売却したがっている子会社に買い手を探し、最も高い値段で売るための方法を指南する。

シュワルツマンは単なるディールメーカーではなく、勘の鋭さや手腕は突出しており、その事業の再構築に深く関与することで、実績と信用、ノウハウを身に付けていったのだ。

ピーターソンとシュワルツマンは奇妙な取り合わせであり、21歳の年の差に加え、180㎝を超えるピーターソンに対し、シュワルツマンは170㎝そこそこと小柄な体型だ。

またピーターソンは浅黒く、シュワルツマンは肌は白く赤ん坊のように澄んだ眼の青さが際立っていると言う。他人によそよそしい、浮世離れしたピーターソンとは対照的に、シュワルツマンは快活で、地に足の着いており、常に周囲の人間と積極的にかかわりながら相手を見定める。

ピーターソンが本能的に争いごとを避けるのに対し、シュワルツマンは必要あらば対立を厭わなかったと本書では説明している。なるほど水と油の関係でも、チームでお互い無い才能を補い合う相互補完の関係であるようだ。

彼らは社会に害をもたらすのか

ブラックストーン

 

プライベート・エクイティについての誤解の一つに、乗っ取り屋というイメージがあるが、あぶく銭を稼ぐために買収した企業に大量のリストラや資産売却を迫って、買収企業の解体し破壊するという。

著者は、本質的にはまったく違うと説いているが、プライベート・エクイティは乗っ取りやと違い、買収する企業の経営陣の意向に反して買収を仕掛けることはめったにない。敵対的買収は必要ないという。

また短期的な利ザヤを稼ぐことはせずに、数年単位で企業の経営権を握ることを目的とし、集中的なスピード感のある経営改革によって企業価値向上を促し、その価値向上分を以て売却益を得ようとするのであると訳者も説いている。

プライベート・エクイティが害悪うんぬんと言うより、企業の経営陣、もしくはその親会社の経営陣が、他の経営主体に委ねたほうが、本来企業がもっている潜在能力を開花させるにも関わらず、会社を抱え込んでしまい手放さない事であり、倒産の芽衣を招く。

これについては、私も倒産企業に何社も居たので実感できる。その経営陣における思い込みやその立場を守る為に、保身に走り倒産を招くことが多かった。

読んでいて思ったのは、経営陣における経営の失態を招いていることで、その結果買収されるのが多いのであって、買収企業を再生させることが買収する側にとって、売却するためにはその使命を果たす努力をするだろう。

その過程でリストラや売却を行うのは、企業再生上致し方ないことも多く、企業に関わるすべての人々にとって良いリストラなんてありえないと考えます。そのリストラにおける被害の総数が多いことが、プライベート・エクイティに悪しきイメージがつく要因でもある。

ただ企業を再生されて、買収される前よりも良くなる企業も多く、その場合 顧客にとって社会的にプラスになる場合もあるので、ステークホルダーの保身よりは、顧客への提供価値を上げる方が良いと思っています。

少し前に M&A についての意思決定と保身について書いているのであわせて下記も参照してもらいたい。

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