【商いの心理学】 Eコマースでの影響力の効果と威力 おさえておきべき 8 つの概念

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米国で企業の研修やコンサルティングを手掛けているスーザン・ウェインシェンクは、ウェブ上のサイトを製作する側が、アクセス数 ( 消費者 ) にいかに会員登録させ、たくさんの商品を購入させるかを紹介している。その主張が以下の三点である。

① 私達は考えた上で決定を下したいと思いたい。決定や行動の殆どは無意識レベルの反応から生じたものである。
② 無意識は、頭がよく、効率的で、処理速度が速い。私たちは無意識なしでは生きていけない。
③ 私たちの 3 つの脳の領域 (旧脳・中脳・新皮質) に語りかけるウェブサイトが最も効果的である。

ウェインシェンクの脳領域の概念は、旧脳は生命の維持、中脳は情動、新皮質は、言語処理や発話、読書、演奏、鑑賞、思考、計画を立てることなどで、前二者が自動的な反応と関連しているとしている。

ウェインシェンクは、無意識のレベルの反応まで働きかけるウェブサイトが、アクセス数やクリック反応を増やすことになると指摘している。そうしたテクニックとして、8 つの概念を挙げている。

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1. 社会的証明

人は他者の動向や意見を知る事ができ、その影響を受けることになる。”売上ナンバーワン”はベタだが、商品を買う気に起こさせる。またある商品についてのレビュー数が多いほど購入者が多いことを示している ( 理論的にサクラは除外 ) ので ( 好意的なレビューであれば ) ECにアクセスした人はその商品を購入しようという気になる。

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2. 返報性

お返しの原理である。ウェブ上では、ある商品を購入しようとする際に、送料無料であったり、試供品や特典が付いていたり、商品のお役立ち情報が提供させたりすると、ECに対する返報性の原理が働いて、その商品を購入しようとする気にさせます。

最近では皆が同じように返報性の原理を取り入れていることが多く、ちょっとのお返しでは差別化できないこともありますが、このあたりは、お金を掛けるのではなく、知恵と工夫次第と言ったところになります。

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3. 希少性

“あと 2 個!”などといった数量限定、”本日 24 時までの限定セール”などといった時間限定という形で機会が限定されると、商品価値が高く見積もられるので、購入しようとする気にさせられます。

ECサイトで時間制限の販売は、アクセスが集中してやっとつながったような場合、ますます希少性が高くなり、購入意欲が刺激させます。サイト運営者(意図的であれば)思う壺にはまることになります。

また欲しい物を手に入れるのに、ある程度待たなければならない場合とすぐに手に入れられる場合とでは、後者の場合に、情動と関連する中脳が活性化することが確認されています。

最後のクレジットカード決済は、お金を払う抵抗感を無くし、新皮質でよく考えた後にクリックするのではなく、欲求の赴くままにクリックしてしまうような仕組みが EC には組み込まれています。

この希少性の法則は、古来より使われている常套手段ですね。

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4. 選択の数

商品の選択肢が一つの場合、ユーザーはその商品を指定されているような気持になり、そこに心理的リアクタンスを感じます。選択肢がありすぎると、どれがよいか迷ってしまい、結果として購入には結びつかないという傾向があります。3~5ぐらいの選択肢であれば、どれがよいかを比較的判断しやすいということでしょう。

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5. コミットメント

コミットメントとはあることに”関わりを持つ”ということです。たとえば、時刻表に載っている到着時刻から10分経ってもバスが来ないとします。この場合、多くの人は、もう少し待ってみようとするでしょう。すでに10分待っているのがコミットメントとなり、他の交通手段に変更する決断がなかなかできなくなってしまうからです。

一度あることに「関わり」を持ってしまうと、私たちは関わりから離れて別の行動が取りにくくなってしまいます。今年はダイエットしますと皆の前で表明すれば、その通りに行動を取る可能性が高くなります。

仏の社会心理学者であるジュールとボーヴォワによると以下の 5 点に集約されます。

  1. 他者が確認できるような状況で、行為者にある行動を取らせること
  2. その行動が何度も繰り返されること
  3. その行動を中断することはできないと行為者に思わせること
  4. 行為者にとってできるだけ手間暇 (コスト) のかかる行動を取らせること
  5. 自由意志でその行動を取ったと行為者に思わせること

こうしたコミットメントの原理を活用しているのが、ウィッシュ・リスト(欲しい物リスト)であったり、商品購入後のアンケートであったり、いずれも商品やショップにコミットメントすることにつながります。

最近では、”この情報をメールやソーシャルメディアで友達に知らせる”というシェアボタンが用意させていることがあります。ボタン一つで、セールス・メルアド・アクセス数など、ショップによりコミットメントさせることになり、一石三鳥と言えます。コミットメントでは、コストの大きい行動を促すことを挙げていますが、コストが大きいと実行されないので、コストを小さくしコミットメントさせて、あとで複数用意して何度も繰り返してもらうことのほうが現実的ですね。

また”商品レビューを書く“という行為にも、コミットメントと一貫性の法則を取り入れていると言えるでしょう。
つまりは、それだけアクセス者のショップや商品に対するコミットメントを大きくしてもらうわけです。

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6. 類似性

人と類似であるということは、その人と心理的に近くなるための重要な要因です。出身地が同じ、学校が同じ、世代が同じ、双方とも同じ観光地に行ったことがあるなどと分かれば、お互い親近感を覚えます。

さらに好きなタレントや小説家、趣味などが同じであるとわかれば、さらに好感をもちます。ものの好みや考え方が自分に似ていない人よりも似ている人を好きになる傾向があるのです。【バーン&ネルソン 1965研究より】

自分との類似性と見出すと、その相手は自分と似ているから安全で信頼できると判断しやすく、相手に近づこうとする傾向があるようです。

コマースなどは、ある程度属性を知ることが出来、アクセス者と同じ年代やファッションや属性をもつタレントや人物を起用することが考えられます。また趣味などのカテゴリーや得意分野のウェブサイトなどを推奨するのも、こうした類似性効果を感覚的に勧めているといえるでしょう。

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7. 喪失の恐怖

何かを得るよりも既に所有しているものを失うことによる恐怖の方が私達とってインパクトがあります。
恐怖は、旧脳や中脳を活性化させるので、所有物を失うことに対しては、脳が自動的に反応するようです 【ベカラ研究グループ 1997】

この原理は、商品にオプションを付けることが出来る場合、まず基本セットのみを提示して、必要に応じてオプションを付けることができるようにするよりも、最初から”基本セット+オプション”というカタチで提示した上で、もし金額が高いと感じたらオプションをはずせるようにした方が、結果的に高額の商品を売ることができるということを証明している。

最初からオプション付きで提示されると、もうそれらを手に入れた気になり、それらを失いたくないという気持ちになりやすいということであり、少々額が上がっても、すでに付いているオプションをはずすことを嫌がり、多くのオプションを付けた形で買うようになる傾向があるということが研究でわかる。

ある程度のオプションを付けて金額を高めにしておき、低価格に変更するにはオプションを外さざるを得ないようなかたちにしておくと、売上が増える可能性があるといえます。

すでに多くの企業が導入しているのは、これらの心理的効果を巧みに使っているといえます。

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8. イメージとストーリー ( 神話や寓話 )

人は画像やイラストがあると、情景を思い浮かべながら読み進めることができますが、書いている内容が図やイラストなどで補足していると、理解が促進され、記憶されやすくなるそうです。

私達の脳は、文字のもつ意味を処理するとともに、それを画像化して処理もしているそうです。何かを空想する場合も、私達は頭の中に場面を描き、イメージしています。

イメージと並んで私達の記憶に残りやすい情報の提示方法が物語(神話や寓話などのストーリー)です。相手に伝えたいことを一つのストーリー、エピソードとして表現するわけです。

スタンフォード大のチップ・ヒースとコンサルタントのダン・ヒースは、原則として単純で、予測できない、具体的で、信頼できる、感動的なストーリー”にすることがウケる物語として指摘している。

単純に

核となるメッセージをコンパクトに表現する。

例えば、ディズニーでは”お客様ではなくそれ以上のゲストです”と表現している。来客をゲストのように厚くもてなす気持ちを表す姿勢を一言で表現しているといえます。

予測できない

従来のパターンを壊し、読み手やアクセス者に好奇心や驚き感をもたせる。

ミステリー小説を読むような感覚を入れるということです。

具体的で

状況や情景をイメージしやすくする。見聞できるように五感で認識できるような形で表現する。

具体的なレベルで伝えるほうが、抽象的なレベルよりも考えるべき領域が狭められ考えやすいというこです。

信頼できる

具体的な数値を出し根拠を提示したり、実際に試すことができるようにしたり事実であることを認識させたりすること。

根拠となるデータや実験、引用先を紹介することで信頼を得ることができます。

感動的な

受け手の情動に訴えること。受け手の自尊心と関連づけ、共感を呼ぶようにすること。

寄付の場合、アフリカ全体の窮状を訴えるよりも、ある一人の子供などが病気や飢えに苦しんでいることを紹介する方が受け手の気持ちを動かしやすくなります。彼らはその効果を利用しているといえるでしょう。

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まとめ

このように、商売の社会心理面の有効な使い方を知っていれば、他社に先駆けてユニークなサービスを展開できたはずです。商売は”飽きない=商い”と言いますが、その商いの為に心の動きを知る必要があるといえるでしょう。あなたにも、新たなヒントとして、サービスを設計する際の手掛かりとしてもらいたい。

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