【 肥満と飢餓 】世界フード・ビジネスの不幸のシステム~消費者はいかに食生活が操作されているか?社会が生み出す肥満の 4 つの概念

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社会が生み出す肥満の 4 つの概念

1. 貧困層と子供に蔓延るファストフード
2. 政治と経済の歪みからくる個人的偏見
3. ダイエット産業の台頭
4. 私たちの食への無意識への刷り込み

順に取り上げていこう。
さらに詳しい内容を知りたい方は 【  肥満と飢餓――世界フード・ビジネスの不幸のシステム 】 参照されたし。

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Ⅰ 肥満は社会的につくられる:貧困層と子供に増加する肥満

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私達が働く建物や、遊技場、学習や休養のための建物などに子供を狙う企業の戦略を追ってみよう。

自宅や公共施設のなかで、そして学校のなかで、子供たちはテレビ・コマーシャルや企業が協賛する教育プログラムの餌食になっている。

米国の例ではピザハットは「Book IT!」マクドナルドは「オール・アメリカン・リーティング・チャレンジ」コカコーラのミニッツ・メイドは「ミニッツ・メイド・サリー・リーティング・プログラム」をそれぞれ実施していたりする。

これらのプログラムで使われる DVD や CD には、巧妙に仕組まれたスポンサー企業の広告が織り込まれている。子供向けの食品が増え、子供たちがおねだりする環境が整い、販売促進に利用される結果、子供の病気が急増している。

英国の市民グループであるサステインで「子供の食品キャンペーン」を実施しているリチャード・ワッツによれば、世界全体で、健康的な食品販売促進に投入されている資金の 500 倍の資金が、ジャンク・フードの販売促進に費やされている。

子供たちの健康は確実に害されている。こうした宣伝のテレビ放映や雑誌掲載は、まったく規制されていない。子供たちを取り巻く環境が、子供たちの選択の幅を決めており、その環境に上手く適応したフードシステムがその状態を増幅させ、その環境から最大の利益を引き出そうとしている。

子供向けに食品広告が行われている結果、子供の生活習慣病に冒されるようになった。2型糖尿病を患う子供も増えたため、この病気は「成人発症性」の疾患と呼ばなくなった。

子供は衝動的で、ジャンク・フードや健康に悪いスナック菓子の誘惑にあふれている。子供たちの身体は、毎日のように栄養価の乏しい菓子類に蝕まれつつある。子供たちが食品産業の最大の顧客となった代償を支払う結果となっている。

またワーキングプアは、通勤時間が長いほど、太りやすくなる確率が高くなることも、数々の研究によって明らかにされている。通勤に多くの時間を割いているので、そのせいで食事に十分な時間を割くことができないのだ。

その結果安いファストフードがあらゆるところに問題をもたらしているのにも関わらず、私達の多くにとって有効な食の選択肢であり続けているのは当然である。

 Ⅱ 社会的肥満 に対する 個人的非難:食事と肥満の政治学

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私達の食生活において、個人の自由であり選択の結果として判断されてきた。現在の肥満は、結局のところ個人の失敗であり、種々雑多な選択肢のなかから、適切な食事を選択できなかったことの結果であり、衝動が抑制できなかったせいだと理解するよう、求められている。

社会通念では、肥満は選択能力が乏しいことの結果であり、決して選択肢が乏しいことが原因とはされない。そのため、肥満という社会的な問題に対する解決策のほとんどが、個人を対象にしてきたのだが、これはどうだろうか。

先進国では、肥満は国家的な問題として、医療関係者を中心に取り上げられているが、糖尿病や合併症の医療コストの問題は深刻である。米国では、91年から01年の間に、肥満人口が71%も増加し、同様な現象は、他の先進国でも途上国でも生じているのは事実である。

世界の糖尿病患者の80%が低所得者の国々の人であり、富裕国でも貧困層における糖尿病患者の割合は格段に高い。2型糖尿病は肥満と深く結びついており、肥満は運動不足や食生活の乱れ、そして喫煙と関係が深い。

運動不足や食生活の乱れの原因である心血管疾患の患者はインドと中国に多く、これら二国の患者数は、北側諸国の患者数を上回っている。これらの意識の情報操作と肥満という病気の急増は、原因分析をめぐる政治と経済の現実であり、その分析がもたらす政治や経済における陰湿な責任の押し合いを是正しなければ、肥満問題は解決しないだろう。

 Ⅲ ダイエット産業:フードシステムに加わった新ビジネス

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ロバート・アトキンスは、食における集団的で社会的な力の関係でこのように述べている。

私が学んだことの一つは、私の患者の多くが中毒に陥っているということです。薬物中毒ではなく食べ物に含まれるある物質に中毒になっているのです。それは砂糖です。

砂糖産業のプロパガンダを喜んで受け入れ「脳は、糖分がなければ機能できない」といった誤解を招きやすいメッセージを信じています。

他方でダイエット産業は、砂糖産業を批判し、痩せた身体をもてはやすことで、正義を気取りながら、莫大な利潤を得ている。世界のダイエット産業は、年間1000億ドル以上の売上げる急成長産業という。

この市場には、製薬産業も参戦、肥満を病気と認めさせ、食欲を減退させる薬を医療品として許可させようと画策している。食品加工産業もまた、食品の悪い部分を改善する技術開発を試みており、ゼロカロリー市場は潤いを見せている。

栄養補助食品は、医療効果を持つ食品であり、食品と薬品が一体化した商品を展開し、化粧品業界も栄養学と食品マーケティングと連携して、美容補助食品なるものも売り出すことになるだろう。

食品産業や製薬産業とともに、ダイエットを売りにする雑誌やフィットネス産業も参入してきているが、私たちの暮らし方に対する社会的解決策よりも、個人向けのダイエットが注目されているのは事実だが、社会的な解決策の根本は、特定の体型だけを良しとする風潮や、見た目を気にし過ぎる傾向などは改めるべきだろう。

草の根であるが、特定の体型のみを支持する風潮をいさめ、適正な食事と適切な運動に基づく健康的な生活の重要性を訴えていくことが重要である。

Ⅳ 食料主権と農村と都市をつなぐ概念

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私達が日々どのように選択をおこなっているのかということ、そして、私達の置かれた環境ではいたって普通に思えるその選択が、実は考えていたよりもずっと奇妙で不自然なものだったとことを示す証拠が著作には記されている。

食品会社は、私たちの選択肢を変化させることで、金儲けしようと、あらゆる手を尽くしてきた。私たちは、食べ物が私たちのためにつくられていると感じているかもしれないが、実際にはそうでなくなってきていることを淡々と伝えてくれている。

私達の暮らしのペースと構造を通じて、私達が食べ物にあわせてつくり変えられつつあるのだ。本質的に私たちのためにならない選択肢を選ばされている、操り人形の消費者となりつつある。

食に起因する病気が増加している構造的な原因の一つは、わかりやすい選択肢が失われたことなのである。企業の選択は、決して農民や農業労働者の生産者の利益を考えた結果では無い。

著者は、すべての人が、よりよく食べるために、時間とお金を持つべきと主張している。それを実現するための政策は、個人の購買力に依存したものでなく、社会全体を対象とした「食料主権」という民主的な概念を伝えている。なにかベーシック・インカムの考えを聞いているようだった。

生産者と都市に暮らす消費者の間には、まったく新しい概念を考えるよい機会かもしれないと読みながら感じた。

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