【集団思考の影響力】 心でっかちな日本人 / 木を見る西洋人森を見る東洋人 / 集団思考という錯覚 をめぐって
集団思考の落とし穴
集団思考に陥る事例は世界中枚挙に暇がないほど多く散見されるが、どうすればお互いに間違いを指摘し合える組織風土をつくることができるだろうか。
社会心理学者のアービン・ジャニスは、ケネディ大統領のピッグズ湾侵攻作戦やニクソン大統領のウォーターゲート事件など、現実に起きた意思決定の失敗例を調べて、集団がどのようにして誤った判断を下してしまうかを理論づけています。この理論は、ウイリアム・H・ホワイトによって”集団思考”と名づけられました。集団思考は、メンバーと異なる見方や考え方を検討するよりも、お互いに仲良く意見を一致させることのほうを求めます。
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集団主義という錯覚:日本人論の思い違いとその由来
日本人は集団主義的だという常識が正しいかどうかを検証することを考える必要があります。この問題の指摘しているところでは、紋切型の考えという単純な分類の問題ではないと思います。これはどんな国の人間でも、人が集団際に陥り、そのなかで事なかれ主義的な考えで、意思決定がなされることは多いでしょう。
特に日本人だから集団主義、西洋人だから個人主義の切り口は若干弱い気がする。私は海外で仕事をしたことはないが、国内で外国の方と仕事をする機会は多い。その場合でも、特に個人主義的な行動や言動などで、仕事に支障をきたすことはほとんどなかった。
ただ国内の人々と仕事をするよりは、契約を重視したり、事細かい作業工程、時間配分の説明、様々な条件や要項を繰り返し伝える必要があったのは、言うまでもないが。
日本人とアメリカ人の間には、どちらが集団主義的、どちらが個人主義という違いは無いということがこの文献で分かりやすく紹介されている。
木を見る西洋人森を見る東洋人
海外の友人がおり、思考の違いを明らかにしたくてこの書籍を選びました。
- 東洋人= ホリスティック :包括的
- 西洋人= アナリスティック:分析的
と分類している。
包括的視点
出来事を制御するには他者との調整が必要であると感じており、場(とくに背景で起きている出来事)をよく見ており、出来事どうしの関係を観察するスキルをもっている。
分析的視点
自分ひとりで出来事を制御できると思い込んでいて、出来事が少しでも変化するとすれば、それは直線的に動くと考え、人や物を環境から切り離された各々独立のものとして捉えている。
本書ではその違いを様々な心理実験を通じて、その違いを書いている。ちょうどこれを書いているときに、この書籍の著者が出演し事例を取り上げている映像を見つけてしまいました。参考にしてもらいたい。
東洋と西洋の違い
心でっかちな日本人 集団主義文化という幻想
集団主義の終焉に向かうと考え、日本人は集団主義的ではなく、時代の変化に応じて集団を形成することで個人の利益を確保することが有利と考えるという。文化は与えられるものではなく自分達でつくるものだという論点で、相補均衡という概念を主張している。
文化とは私たちが私たちの自身の行動によって生み出している相補均衡だと考えれば、集団主義的行動をとる人々の比率の減少は限界質量を超えて、加速度的な変化を生み出す可能性があると論じている。
分かりやすくいうと、終身雇用が確立している企業の社員は、集団への貢献に対する将来の”お返し”を期待している。しかし終身雇用が崩れれば、会社に対する忠誠を示すよりも、自分の市場価値を上げることによって、将来の利益を確保することになると例を挙げている。
たしかに、私が就職した時には、終身雇用の文字すらなく、自分の市場価値を中心に考えざろう得なかったのは頷けるところである。そう考えると私にとって組織内での集団主義は、実は意味を持たないことで、能力によって自らの立場をつくっていけたのは、終焉に備える結果となり、現在考えると良かったと考えている。
文化とはと考えるとその心の問題ではないと思うし、個人個人の行動の結果形作ることの意味を教えてくれた良書であった。
集団思考に陥る要因
- グループの結束が強く求められている
- 外部の影響から隔離されている
- リーダーが権威主義的で自分達の意見ばかり鼓吹する
いずれも多くの組織のさまざまなレベルで見受けられます。この傾向が進むとリーダーの意見に従わなくてはならないプレッシャーが生まれ、反対意見は検閲されリーダーに届かないようになります。
そしてグループの構成員同士は、完全に意見が一致し外部の意見(ヨソモノや客観的な第三者)は取るに足らないという幻想が生まれます。最近の国内の事例では、内向き官僚体質ぎみの閉鎖的な教育委員会や問題となっているスポーツ組織などが挙げられます。
集団思考に陥った結果
- 不完全な議論と意思決定
- 代替案の検討が不十分
- 情報検索プロセスの偏り
- リーダーの推す選択肢が抱えるリスク評価を見誤る
といった典型的なパターンが引き起こされることになるそうです。
ではどうすれば、こうした稚拙な意思決定を避けることができるのでしょうか。
リーダーによるグループの意思決定の改善方法
- どのような意見でも特にリーダーが支持する意見に対しても、批判的・懐疑的に臨むようにする。
- 優秀なリーダーは、自分の立場を明らかにする前に、必ずほかのメンバーの考えを聞くようにしている。
- まわりにイエスマンばかり置かず、耳障りのよい意見ではなく、チームの本当の考え、辛辣な意見、見方を確実に知ろうと仕組化しておく。
- 決定が下された後でも、それについて疑問が残っているときには再度検討し、話し合いの場を設ける。
- より公正の立場で意見を評価できる外部の専門家を招く。
優秀なリーダーであれば、メンバーが報復を恐れずに発言できる、公正で開かれた環境づくりに努めるべきですね。
視野が狭まり、新しい意見が出ないときに、特に効果的です。
理解するには、それなりに外部の人の視点が必要になります。
あなたが誰かに、自分の組織やグループの決定に対して、”イエス”と言ってもらいたいなら、まずは自分のグループ内の誰かに”ノー”と言ってもらうことが、集団思考を打ち破る秘訣となります。
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参照画像 【3 Keys to Avoiding Groupthink When Collaborating】
参照画像 【GROUPTHINK:Photo by: Dmitriy Shironosov】