【 食の終焉 】 グローバル経済がもたらしたもうひとつの危機 新しい食料主権 6 つの提言

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食のシステム 恐怖の均衡

スーパーマーケットの食料品売場は、今日も多くの商品であふれかえっている。

ガラスのショーケースには食品がぎっしりと詰まり、肉や魚の棚は満杯であり、広々とした店内は清潔で整備され、食のシステムの崩壊を示す兆候は見当たらない。

しかし、買い物客の大半が肥満気味の体型をしていることさえ気にしなければ。

一見永遠に続くかに見えるこの光景の背後で起きていることを知った瞬間、そこにはその認識をがらりと変えなければならない実態があることを今、私たちは知っている。

このような極限状態に置かれた食経済が、もしも許容限度を超える”万が一の事態”に遭遇したとき、瞬時にこのシステムは機能不全に陥り、棚やショーケースはあっという間に空になってしまうだろう。

さらに詳しい内容を知りたい方は 【  食の終焉 】 参照されたし。

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1. Xデーにそなえること

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著作では、仮に鳥インフルエンザが世界的に大流行した場合を想定している。
この最悪な事態の発生地はアジアだという。

シドニーにあるローウィー国際政策研究所が立てた現実的な筋書きでは、発生源となる可能性が高いのは、アジア地域のアヒルの飼育場で、アジアかぜと同程度に流行した場合、死者は世界で 1400 万人。

同時に、重大な経済的被害を引き起こし、しかもその被害は食料部門に集中するという。新興国における投資は引き上げられ、地域経済は疲弊、先進国でも死者が拡大し、経済的代償を支払うことになる。

生鮮食品の膨大な生産能力への過度な依存と、グローバルに広がり過ぎた供給システムと、消費者が食品に対して抱いている安全面への過敏な不安さゆえ、その影響は壊滅的なものとなるだろう。

公共の場で、食事を取ることを消費者が避けるようになれば、飲食店は店を閉じるしかなくなる。米国議会予算局の調査では、外食産業の売上は現在の五分の一まで下がると見られている。

食料品店では商品在庫を維持できなくなるという。予算局では、一世帯あたり約 16 万 7,200 円の損失を受けると見積もられている。

さらにインフルエンザを止めたとしても、石油価格の急騰、数々の異常気象、植物病害の大発生、重要な帯水層の枯渇など、ここまで拡大した食システムを崩壊させるためには、一発の爆弾すら必要ないということである。

既に食システムは崩壊に向かって動き始めているという。私たちの体型は太くなり、土壌内の有機物は失われ、地下水面は低下し、肥料と農薬の使用量は増え、森と農地の面積は減っている。

グローバリゼーションのシステムの歯車が一度狂えば、連鎖的に様々な問題が起こる。著者はこのように、すでに致命的で取り返しのつかないことになる方向に向かっているのと指摘している。

2. キューバの成功

キューバは、持続可能なモデルに沿って、自国の食経済をつくり変えるための包括的な努力を真剣におこなってきた。

90年代のキューバの食システムの崩壊のきっかけは、疫病でも環境的要因でもなく、ソ連の崩壊という地政学的なものであるが、食システムの崩壊は深刻であり、影響は同じようなシナリオだった。

産業用投入資源を失ったキューバは、これまで国が進めてきた工業的な食糧生産モデルを捨て去る以外に選択肢はなかった。

その答えが、機会と化学物質への依存がもっと低く、地元で消費する為の食物栽培に重点的に取り組む今日のキューバの食料生産モデルだった。

大規模な国営農場は解体されて共同農場となり、何十万人もの労働者や都市や工場での仕事から、農場での仕事に再配置された。

農業と環境を融和した数多くの方法は上手くいっているようだ。まだ先進国の食料水準ではないが、自給自足の国家に変貌することに成功している。

キューバは権威主義的な政治体制と気候豊かな地域が幸いしているのは、事実であるが、豊かな国が自発的に何をするかではなく、用意された選択肢がどれも悪い場合にどうするかと具体的に行動できる体制を整えておくことも大事であろう。

 3. 地域重視の食システム

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こうしたキューバのような、持続可能な食物生産に取り組むとしたら、どのようにすればいいのか。

明らかな方向性としては、国際的な食品業者や国内の供給業者に依存せず、できるだけ地域の食物資源に頼るような食システムを構築することだろう。

それを慎重に築き上げれば、現在のモデルよりも安全で、地球にやさしく、エネルギー効率の良いシステムとなると指摘している。

地域に密着した食経済が生まれるとしたら、小規模農家が都市農家の市場や自治体の支援する農業団体に供給を行う現在の地域密着型モデルとはまったく異なったものになるだろう。

都市型農業を育成しようとする意欲的動きがすでに始まっているという。裏庭や屋上庭園、レストランの野菜畑にはじまり、緑地帯や工場埋めたて地に野菜、果物、蜂蜜、家畜まで生産する大規模な共同体農場まで、はじまったばかりだ。

4. 青の革命

供給側の問題解決でより多くのタンパク質を”海”から入手するというものである。

魚は本質的に餌効率が高い。冷血生物で、水の力を利用して動き、体重を水で支えていることから、陸生生物と比べて体の維持に費やすカロリーがはるかに少なく、結果的に太りやすいのだ。

陸生生物よりも産業化に適している。
大量養殖が可能で、品種改良しやすい。また陸生の家畜よりもはるかに多様である。

今日実践されている水産養殖には重大な欠点がある。汚水の問題や抗生物質への過度な依存であり、サーモンやオヒョウなど肉食性魚類向け飼料が持続可能な状態にないことなどだ。

また大量養殖における設備面の問題、環境問題、生態系の変化、遺伝子組み換え技術における安全性など問題は多く、私たちが直面している難題の対応策について国民的合意を形成するよりも、首尾一貫の戦略を立てることもできないまま、場当たり的に問題対応を繰り返すことになるだけであると著作では指摘している。

5. 肉の需要を減らせるか

北米や欧州では、昔から肉を多く消費することが人々の望みであり、また企業戦略としても肉の消費を望んできた。肉は感染症を起こしやすく扱いが難しい。

例えば、大腸菌やサルモレラ菌のような病原体や汚染された輸入食品、鳥インフルエンザなど、食物を原因とする病気の大発生も人々の肉離れを加速されるだろう。

今必要なのは、信頼できる公的機関が肉に大きく偏った食生活にかかる巨額の外部費用をすべて明らかにし、今の補助金制度と政府支援によって肉の値段が不自然に安く抑えられることをはっきりと指摘することだ。

こうした取り組みは様々なところから反発を受けることを予想しているが、そのとおりだろう。食肉経済は、依然としてゆるぎないシステムが存在しているため、まだまだ取組にはいらたない。ただこうした動きは少しずつひとりひとりの手で動くものである。

6. 食を自分の手に

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インフルエンザの大流行の国家における警告は、食システムへの新しいアプローチの処方箋とも受け取れる。食経済についてこれまで得た知識は、現在の食料生産システムが今後ますます混乱が生じやすい状態にあると同時に、混乱を防ぐ力を持つ存在が、公共にも民間にも見つけられないことを教えてくれている。

現在の食システムが問題なく何年も、あるいは何十年も続いたとしても、食経済が一層効率を上げて食料を生産していったとしても、私たちの肉体、精神、世界が負う代償は、とてつもなく大きくなることだけは間違いない。

食の有益な面しか評価できない現在のシステムは、病原菌やテロ攻撃と同じぐらい確実に、お金には代えられない食という重要な要素を軽視し、無視し、それを積極的に破壊し続けるだろう。

著者が本書を通じて伝えたいこととは、食物生産を他者に任せたことや、自分が食べるものの特性や優先事項やそれについての思いを、遠く離れた経済モデルによって決められるとかまわないと思ったがゆえに、私たちは食の衰退を加速させ、それと同時に、人生にとって重要な何かを失ったのではないかということだ。

ゆっくりと進む分離による損失は、社会的、文化的、精神的な問題は肥満かもしれないし、家族関係の荒廃かもしれないという。このような問題の多くは私たちの食卓で起きているという。

食の主権を手に戻すという主張

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食に対しても私たちは同様のアプローチを取る必要がある。まず、食システムに起きたこと、そしてその結果として私達の身に起きたことが、偶然や必然ではなかったことを認識するのが重要と言う。

自分の家の台所など、もっと身近なところでは、さらに多くの選択がなされている。毎日の生活でどの食材を選ぶか、どのように食べるか、そしてその食を提供する生産者側の姿勢を注意深く監視する必要がある。

私達ができることは、食にどう向き合うか正しい選択と意思決定、どう食べるかという知識と見解、悪しき食品企業の不買、政府や政治家の動きを注意深く観察し、選挙で誰を選ぶかといった未来への選択も重要だ。

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