【 喫煙と禁煙の健康経済学 】 タバコが明かす人間の本性~命を削り やめられない消費が及ぼす経済的損失

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日本人の喫煙の現状と喫煙量はどのくらいなのか

我が国の 2010 年の喫煙率は、男性 36.6 %、女性 12.1 % である。喫煙人口は男性 1,840 万人、女性 655 万人で、計 2,495万人になる。

近年の数値で見ると、働き盛りの男性の喫煙率が 45 % 前後とかなり高い水準となっている。とくに日本人男性の喫煙率は先進国のなかで最高水準にある。

また、20歳代女性の喫煙率は、1965年の 6.6 % に対し 2009 年 は 15.9 %で、この間に増加の一途を辿っている。

総販売本数を喫煙量とみなすと、2007年のデータでは、2,585億本になる。一箱 20 本 410 円で計算すれば、総販売額は 5 兆 2,993 億円に達する。

これは国家の防衛費を上回る額である。世界的禁煙運動の流れの中で、喫煙率や喫煙量は概して減少傾向にあるものの、現在でも 2,500 万人ほどの日本人が喫煙しており、種々の計測結果を基にすると、約 1,500 万人が禁煙を希望しながら不成功の状態にあると推察される。これは驚異的な事態である。

さらに詳しい内容を知りたい方は 【 喫煙と禁煙の健康経済学 – タバコが明かす人間の本性 (中公新書ラクレ)  】参照されたし。

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経営者が考えるべき喫煙者の生産性が低くなる 4 つの理由

労働者における賃金を考える場合、喫煙による生産性の低下をどのように考えるべきか。

 

第一に、喫煙者は労働時間中も仕事を中断して喫煙する可能性があり、生産能力は同一でも実現する生産性は低くなる可能性がある。

仕事がしばしば中断されれば、明らかに同じ職場の同僚も喫煙者と一緒に仕事するのが困難になる。職場には協働とチームワークが重要であるからだ。

仕事中に喫煙しないと禁断症状で生産性が低下する可能性もある。喫煙に起因する病欠によって労働日数が減る事や、職業によっては、喫煙起因の肉体的劣化が仕事遂行能力を低下させることもありえる。 【Quah et al.,2005】

 

第二に、喫煙の身体的悪影響は人生の後期に発生すると思われるが、実際には若年期にも発生する場合がある。

軍事の人事に関する研究によると、軍事に適した頑強な若年者でも、喫煙すると肉体的忍耐力が低下し、訓練による進歩が生じにくくなるという。

軍隊で基礎訓練を受ける13週間の間に、喫煙者は非喫煙者よりも呼吸器系上部の伝染病に46%多くかかりやすいデータが出ている。 【Levine et al.,1997】

 

第三に、雇用者が喫煙者の雇用費用は高くつくと考えられる。喫煙者のいる職場では清掃費用が確実に高くなる。

毎日の灰皿の清掃だけでなく、黄ばんでくる室内(喫煙所)の壁・床・天井・柱などの清掃は厄介である。

喫煙可能な職場の火災保険料は高くなるだろう。生産における喫煙の費用が喫煙者一人当たりの年間 80~160 ドルになると推計している。 【Kristein 1983】

 

第四に、喫煙者は健康保険の費用が割高になる可能性がある。特に高年期の疾患の治療のために、喫煙者は非喫煙者よりも多くの費用を必要とする。

1985 年に 25 歳以上であった米国人喫煙者がそれ以後の生涯に余分に必要となる医療支出の現在価値は 6,239ドルになるという。 【Hodgson 1992】

もし企業が喫煙者の余分な保険費用を部分的に負担しなければならないとすると、喫煙者の賃金を下げるか採用を回避する必要もあるかもしれない。

環境タバコ煙 子供の発癌率はそうでない子供の 8 倍

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環境タバコ煙の調査において、2004年 の IARC の調査によると、喫煙者と同居する人の肺がんになる確率が、そうでない人と比べて、男性で 24 %、女性で 37 % 高いと結論づけた。また職場で、受動喫煙する者は、肺癌になる確率が 16~19 %高くなる。

環境タバコ煙に晒されると、非喫煙者の冠動脈心疾患の危険が高くなることも、いくつかの研究によってあきらかになっている。90 年代に、受動喫煙起因の心臓病による死は、喫煙と飲酒による死に次いで、米国では第三に主要予防可能な死となった。

環境タバコ煙に晒されることが喘息の発作を引き起こす可能性も指摘されており、英国 2003 年の調査では、深刻な喘息患者の 44 %が飲食店の煙のために社会生活を制限されていると伝えている。

喫煙者と同居する女性は、非喫煙者と同居する女性と比べて、子宮頸ガンになる確率が 40 %高まると指摘されている。子供は家庭で環境タバコ煙に晒されると、その被害は大人よりも大きいと予想されている。親が喫煙すると子供の喫煙する確率も高まる。

日常的に環境タバコ煙に晒されて育った子供の発癌率はそうでない子供の 8 倍であるという。親の喫煙は子供の喘息に対しても非常に深刻な影響を与える。こうして家庭、飲食店、道路が受動喫煙の主なる場所となっており、非喫煙者にとってタバコの煙は極めて危険である。

喫煙が引き起こす経済的損失額

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喫煙が社会に対して生み出されている総損失額・医療費に占める割合などを推定・試算した研究も存在している。

損失として医療費・死亡による所得損失・喪失国民所得・火災による損失・清掃費などを試算したものである。

医療経済研究機構 (1995) による 1990 年のそれは受動喫煙の被害も含めて 3 兆 2,416 億円となっている。

参考までに、後藤公彦:タバコの経済分析 1996 では、タバコ消費に起因する医療費が 3.2 兆円、損失国民所得が 2 兆円、消防・清掃費用が 0.2 兆円となり約 5.4 兆円なっている。

タバコ総販売額は 5 兆 2,993 億円と同様に、合計金額は防衛費を上回る結果となってしまっている。

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