【未来予測と投資の意思決定】 予測バイアス・専門家の過信・偶然性に冷静に対処する為の 9つの提言

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【新興宗教に見られる認知的不協和】

人間は確証バイアスによって、自分の仮説や思い込みに合致するデータだけを追い求める傾向がある。 宗教の信者にしばしば見られるように、何かを信じた人間は、かたくなにそれにしがみつくことがある。

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Festinger et al.1956】 ある新興宗教で、終末の期日が明確に予言された。信者たちはその日に備えた日々を送り、ついに約束の日となったが、予言は外れた。これを契機に教団から離れた信者もいたが、驚くべきことに、多くの信者が教団にとどまった。予言が外れたことについては、教団信者の信仰によって終末が回避されたと説明され、それを多くの信者が受け入れた。

さらに興味深いことに、教団はそれまでの方針を変えて、積極的に新しい信者の獲得に乗り出したのである。かつては予言の正しさを信仰の根拠にしていたが、それが失われたために、信者が増加していることをもって信仰の正しさを裏付けにしようという心理が働いたと解釈された。

信念の根拠が失われたときに、その信念を捨てるのではなく、新たな根拠を見出そうとするのは、人間の一般的な傾向のひとつである。これらの研究をもとにフィスティンガーによる認知的不協和の理論を提唱することになる。 以下は実験の映像である。

A Lesson In Cognitive Dissonance

変化盲 / 選択盲による意思決定】 視覚や聴覚から得られる音楽や映像などのメディアやコマーシャルは、絶え間なくメッセージを私たちに届けるが、そのほとんどが自覚していない。注意深く意識レベルまで認識しなければ、人は自覚できない。しかし潜在脳に働きかけて、私たちの選択や意思決定にまで大きく左右される。

Experimental Psychology – Change Blindness

意思決定において、意図と結果の違いを検出できない現象は「選択盲」と呼ばれる似た現象に、途中で変化に気がつかない「変化盲」がある。視覚刺激の変化が観察者によって見過ごされて行くときに発生する心理的な現象である。 例えば、個人が一つの変更を除いて同一である2つのイメージの違いに気づかず間違えることである。

施設の受付でチェックインをした被験者は、カウンターで名簿に記入するように要求される。 記入中いくつかのやり取りをしている受付が被験者に気が付かれないように入れ替わり、何事もなかったかのように対応する。被験者は、まさか受付が入れ替わったとは思わずまったく気が付かない。このことから人間の視覚は実に曖昧であることが分かる。

Santam – Ben Kingsley “Sir Sneaky” – Vicci Turpin DOP

意思決定において、意図と結果の違いを検出できない現象は「選択盲」と呼ばれる似た現象に、途中で変化に気がつかない「変化盲」がある。同じく変化盲(変化の見落とし)。 有名な南アフリカの大手保険会社「Santam」のCMである。視覚刺激の変化が観察者によって見過ごされて行くときに発生する心理的な現象である。

【生き残りのバイアス】

例えば、調査時点で消えてしまったデータを考慮しないのは、生き残りのバイアスと呼ばれる誤謬である。

● 投資の意思決定でのバイアス

一部の投資信託の運用会社は、成績の悪い投信の運用を終了して、預託者に償還してしまうことで、比較的成績の高い投信を残し、表面的な平均リターンを引き上げているといわれる。 成績の悪い投信を終了することで、平均リターンをいくぶん引き上げられていることが見出されている。 【Elton et al.1996;Carhart et al.2002

● 顧客満足度調査でのバイアス

現在取引のある顧客の名簿を使って満足度の調査をして、高いポイントが出たからといって、満足してはならない。現在取引があるということは、ある程度満足している顧客である。 満足できずに離れていった顧客に尋ねたら、もっと低い数値が出るだろう。そのような顧客の声を反映させないと、長期的には業績が下向きかねない。

【専門家の過信による権威と服従】

ミルグラム実験とは、閉鎖的な環境下における、権威者の指示に従う人間の心理状況を実験したものである。俗称としてアイヒマン実験(アイヒマンテスト)とも呼ばれ、またこの実験の結果示された現象をミルグラム効果とも呼ぶ。

Milgram Obedience Study

この実験における実験協力者は新聞広告を通じて、「記憶に関する実験」に関する参加者として20歳から50歳の男性を対象として募集され、一時間の実験に対し報酬を約束された上でイェール大学に集められた。

実験協力者の教育背景は小学校中退者から博士号保持者までと変化に富んでいた。実験協力者には、この実験が参加者を「生徒」役と「教師」役に分けて行う、学習における罰の効果を測定するものだと説明された。各実験協力者はくじ引きで「教師」(実はこの実験の真の被験者)とされ、ペアを組む別の実験協力者(実は役者が演じるサクラ)が「生徒」(あるいは「犠牲者」)となった。

クジには二つとも「教師」と書かれており、サクラの実験協力者はくじを開けないまま本来の被験者に引かせ、被験者が確実に「教師役」をさせるようにしていた。【ミルグラム実験:wiki】

【各バイアスの繋がり : 外れ値/回帰の錯誤/正常性バイアス

前回の記事【確率とデータでの意思決定:ヒューリスティックと確率認知バイアスに陥らないための10の法則】でギャンブラーの錯誤取り上げたが、この錯誤や正常性バイアスは、いずれも時系列的なデータの認知に関わっている。 外れ値が続くと思い込むのが平均への回帰の錯誤であり、外れ値をエラーと片づけるのが正常性バイアスである。平均への回帰の錯誤は、意思決定者が平均という認識を持っていない時に発生する。

正常性バイアスは、異常データさえも正常に織り込んでしまう。 一方でギャンブラーの錯誤は、ランダムなデータの中に誤った規則性を見出すことからはじまる。そのうえで、その規則性がまだ続く、あるいはここで流れが変わると勝手に思い込んでしまうのである。

【予測・過信・偶然性に冷静に対処する為の 9つの提言】

  1. 分析するシステムの中に、運と実力とが存在することを認識する。
  2. サンプルサイズを注意深く考える。
  3. システム内、あるいはシステム事態の変化に注意する。
  4. 専門家などによるハロー効果に注意する。
  5. 同じではない状況と比較して類似点を探し出すことには注意する。
  6. 極端な成績が出た後平均値への回帰を予想しておく。
  7. 自分ではどうしようもないこともある という事実を受け入れる。
  8. 偶然の一致に意味づけしようとしてはいけない。
  9. 自分がどんな迷信を持っているかを確認し、それらに意味があるかどうかを問い直す。

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参照画像:【Stylepark