【確率とデータでの意思決定】 ヒューリスティックと確率認知バイアスに陥らないための10の法則

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【フレームの役割をあらわすジョーク】

ある日、若い司祭が司教に尋ねた。 「主に祈りをささげている間に、煙草を吸ってもよろしいでしょうか」 「それは決して許されないことです」 次の日、別の若い司祭が同じ司教に尋ねた。 「私が心の弱さから煙草を吸っているときに、主に祈りを捧げてもよろしいでしょうか」 「もちろんですとも。主はお許しくださいますよ」 意図的に操作された誤ったフレームであった場合、その意思決定は危うい方向に向かう場合がある。

【アンカー効果】 人が自分のよく知らないことの数量を見積もるときには、まず別の関連しそうな既知の数量を基準として設定し、次にそれからどれだけ多いか(あるいは少ないか)を考えて調整して、求める数量を推測する。しかし、その調整はしばしば不十分であり、結果として得られた推測は最初に選んだ基準の近くに収まることが多い。

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Tversky and Kahneman (1974)

不確かな事態で予測や判断を行わなければならないとき、初期値(アンカー)が判断に影響してしまうという心理的効果のこと(例えば、1万円の料理を高いと思うか安いと思うかの判断において、「5000円でも似たような料理が食べられる」と聞かされればひどく高いものに感じられるが、「いつもは1万5000円だが今日は特別に1万円にサービスする」と言われれば高くないように感じてしまう。

同じ金額でも目先の高いか安いかだけでその料理が高いか安いかを決めてしまう事)。最初に提示されたひとつの意見が強い影響力を持ち、他の意見を繋ぎ止める作用をもつことから係留効果ともいう。【wiki: アンカー効果

【ギャンブラーの錯誤】

Critical Thinking Part 5: The Gambler’s Fallacy

【ギャンブラーの錯誤】

ルーレットで赤が5回ほど続くと、次こそは黒が出ると思いがちである。過去に何回赤が出ていようが、次に赤が出る確率と黒が出る確率は等しいにも関わらずである。このような誤認識をギャンブラーの錯誤と呼ぶ。負けがこんでくると「次こそは勝つはずだ」などと、根拠の無い期待をしてしまうのである。 スポーツ選手と同様、ギャンブラーにもジンクスがある。ツキを呼ぶおまじないや、スランプから脱け出す儀式の類には事欠かない。統計学的には、ツキやスランプと解釈されるような変動現象は、起きて当然なのである。

スロットマシンで遊んでいる時に大当たりしたら、次にまた同じ大当たりをする確率が最も高いのは、その次の回なのである。 一般に確率的思考が苦手であり、そうした傾向につけ込んで、ギャンブルの胴元は利益を得ているのだろう。加えて記憶の偏りも影響しているに違いない。ギャンブルに強いと自認している人は、大勝ちした記憶が鮮明に残っている一方、スランプ状態の損失を忘れているのではなかろうか。

【ヒューリスティック】

心理学におけるヒューリスティックは、人が複雑な問題解決等のために何らかの意思決定を行う際、暗黙のうちに用いている簡便な解法や法則のことを指す。これらは経験に基づく為、経験則と同義で扱われる。判断に至る時間は早いが、必ずしもそれが正しいわけではなく、判断結果に一定の偏り(バイアス)を含んでいることが多い。ヒューリスティックの使用によって生まれている認識上の偏りを、認知バイアスと呼ぶ。【wiki:ヒューリスティック

代表性ヒューリスティック

あることを考えるときには、その代表的な事例や典型的なデータをイメージすると考えやすい。 しかし人は、さしたる根拠も無く、ある種のデータや事例が、あたかも全体を代表しているかのように、錯覚することがある。

① 経営者が行う、ステレオタイプによって意思決定

人材を採用する際に、「地元生え抜きや学閥」など、この地域や出身大学であればこの人材は大丈夫であろう。この事例にあてはまる。

② 経営者が行う、他社の成功事例を好んで模倣する行為

急成長している事業や成功しているビジネスモデルなどは、決して全体を代表するような事例ではないし、非常に特殊な事例であるが、その尻馬に乗り参入し、表面のみ模倣する行為はこの事例にあてはまる。

可用性ヒューリスティック

利用しやすいデータや思い出しやすいデータだけに基づいて意思決定すること。

① 消費者がコンビニなどで、ただ良さそうだからと深く考えずに、手近にある商品を選んで購買すること

そのときに人は、その商品を選ぶ決め手のひとつとしては、テレビコマーシャルが浮かんだ場合など、その購買確率が高まった場合、この事例にもあてはまる。なので、企業は莫大なコストをかけて、テレビコマーシャルを打つのである。

② 経営者が選ぶ人選についての意思決定

新しいプロジェクトリーダーを選ぶ際、広く情報を集める代わりに、自分の良く知っている従業員の中から選んだり、主だった管理者から候補を挙げさせて選ぶことがこれにあたる。

【確証バイアス】

個人の先入観に基づいて他者を観察し、自分に都合のいい情報だけを集めて、それにより自己の先入観を補強するという現象【wiki】であり、あらかじめ抱いていた仮説に合致したデータだけを求めてしまう傾向を確証バイアスという。 確証バイアスには、認知的不協和を避けたいという心理も関係していると考えられる。人は誰しも、自分の有能感を維持したいと欲している。自分の仮説が間違っていることを突きつけられると、大なり小なり有能感が損なわれる。それは認知的不協和を引き起こす。そのために自己の仮説に反する情報に目をつぶってしまうのである。

A Lesson In Cognitive Dissonance

認知的不協和:フェスティンガーの実験

認知的不協和の提唱者フェスティンガーは以下の実験を考案した。フェスティンガーは、単調な作業を行わせた学生に対して報酬を支払い、次に同じ作業をする学生にその作業の楽しさを伝えさせる実験を行った。この実験では、実際にはつまらない作業という認知と矛盾する楽しさを伝えるという認知から不協和が発生するが、報酬の多寡で楽しさを伝える度合いが異なる事を確かめた。 報酬が少ない学生は、報酬が多い学生よりも楽しさを伝える度合いが強く、割に合わない報酬に対して「本当は面白かったのかもしれない」と、認知に修正を加えて不協和を解消しようとする心理が強く働いているとした。

【確率の誤認知】

企業経営者による市場参入の意思決定の場合、新規企業の成功確率は俗に「千三つ」といわれるほど低いのだが、新しく事業を起こした2294人に対する調査によると、81%が事前の成功確率を7割以上と見積もっていた。しかも、10割と見積もっていた者が33%もいたのである。つまり人は平均的に自分の成功確率を高く見積もりすぎる傾向がある。これは確率の誤認知が起きている可能性がある。【Cooper et al.1988】

宝くじのパラドックス

前回取り上げた 【感情と意思決定: 感情コントロールの重要性と回避・後悔・心的外傷について】 でもお伝えしたが、宝くじの当たる確率は非常に低いが、「誰も当たらない」という命題は、ほとんど真であるが、現実には必ず誰かが当たる。 論理的には「誰も当たらない」と「誰かが当たる」の両方とも成立しそうに見える。これが宝くじのパラドックスである。実際に宝くじを買う人は、「誰かが当たるなら、それが自分であっても不思議ではない」と論理を進めてしまう。【Kyburg(1961)】 市場への新規参入についても、成功確率が低いのにも関わらず、多くの企業経営者が参入の意思決定をするのは、人は小さな確率の認識を苦手としていることも影響している。

【まとめ:確率認知バイアスに陥らないための10の法則】

  1. 最初の価格などが、その後に受け取る情報にバイアスを与えることを自覚する。
  2. 異常に高いか異常に安いと思われる最初に値、最高或いは最悪の筋書きは慎重に検討する。
  3. 買い手になったときは、相手の最初の言い値にはあまり注意を払わないようにする。
  4. 売り手になったときは、こちらから最初の価格を示して主導権を握る。
  5. どんなことでもとりあえず疑う。
  6. 自分の考えと相反する情報を積極的に探す。
  7. 自分の考えが間違っているかもしれない理由を考えその証明を探す。
  8. 同じでない状況と比較して類似点を探し出すことには注意する。
  9. 極端な成績が出た後は平均値への回帰を予想しておく。
  10. サンプル数が小さい場合、結果に偏りが出ることがあるので注意する。

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