【 BMWのブランド戦略 】高価格で高付加価値を提供する プレミアムカー創造 10 のブランドマネジメント戦略

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BMW というブランド

自動車メーカーのなかで、BMWほどアイデンティティが明確で一貫性のあるメーカーはないだろう。

ひとつの独特な機能的価値を際立だせるために、10のブランドマネジメント戦略を厳密に規定しながら、実践している数少ないメーカーである。

これらは、ブランドづくりにとって基本的考えであるが、1913年の創業以来、継続することは多くの困難が伴っただろうが、実直に守り続けながら、現在に至っている。

なぜ BMW だけが際立った強力なアイデンティティを確立し、かつ長い間維持されているのだろうか。

さらに詳しい内容を知りたい方は 【 ブランド戦略・ケースブック  】 を参照していただきたい。

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ブランドマネジメントの構造

BMWのブランド育成法には、2つの観点があると著者は指摘している。

ひとつは、ハードとしての根幹となるモノづくりの視点。機能的価値づくり、車自体の機能に差を出す活動である。
もうひとつは、その機能的価値を際立だせるための支援活動 ( ブランドマネジメント ) である。

これはマネジメントの実践であり、情緒面における価値づくりといえる。

この10のマネジメント戦略が、車自体の機能的価値を支える。

Ⅰ 機能的価値をつくる

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BMW自体を表現するコンセプトは何か。

  •  ブランドスローガン”駆け抜ける喜び”

  •  前後重量配分50対50に限りなく近づける

  •  最新技術のエンジン構造や FR へのこだわり

  •  人の安全への徹底、最高のハンドリング

彼らの発想は、いくらででも売上を増やすために、売れるものを考えるというものではなく、BMWというブランドで売れる車をつくるという発想が大きく違うところである。

Ⅱ BMW 10 の ブランドマネジメント

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1. 商品ラインの絞り込み

メーカーでは通常、時が経つにつれてその商品ラインナップは拡大していく傾向にあるが、BMW では超えてはいけない商品ラインナップの一線を自ら認識している。

商品ラインを増やすことは、顧客を増やすことである。しかし BMW では単純に顧客を増やすよりも、ブランドイメージの拡散を防ぐことが大切であると考えているという。

2. マスターブランド体系を採用

企業は保有するブランドを階層別構造別にタイプ分けした3つのタイプに分類される。

1. マスター・ブランド体系

1 つのコーポレートブランドの下に個性の薄いプロダクトブランドがぶら下がり、あらゆるコミュニケーションをコーポレートブランド 1 つで行う構造。

2. フリースタンディング・ブランド体系

意図的にコーポレートブランドの存在感を消し、その下のプロダクトブランドでコミュニケーションを行うタイプである。

3. エンドースト・ブランド体系

コーポレートブランドとプロダクトブランドが同時にコミュニケーションされていくタイプ。

多くの日本企業が採用しているのはこのタイプである。

顧客の頭に残さないネーミング体系

BMW が採用しているのは、一番目のマスター・ブランド戦略である。企業名であり、コーポレートブランドである BMW をあらゆるコミュニケーションの主軸に据えている。

その下には個性のある車名ブランドを冠することはせずに、記号の組み合わせで表現している。

BMWがブランドマネジメント能力において突出しているのは、「B・M・W」という英文字3文字に自らのすべてを凝縮するという強固な意志を持っている点であるという。

他社メーカーは、様々な顧客を幅広く獲得し、ビジネスを拡げていこうとするが、それとは逆の思想を持っている。

顧客を限定し、その人々に長く乗ってもらうことを目的としているから取り得る戦略である。
車の機能的面、表現の面を絞り込んだ BMW だからこそ活きてくるブランド体系である。

例えば、BMW 525i など社名の「B・M・W」3文字以外は、車名付与の基本ルールさえ分かってしまえば、仕様書のようであり、また性能や機能を伝えるものであり、顧客の頭に残さないネーミング体系を採用している構造である。

3. ブランドシンボルの一貫性

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シンボルは、円形と十字に分割された造形は飛行機のプロペラを意味し、青と白の色彩はバイエルンの青い空と雲を象徴している。

ブランドシンボルにおいては、過去に部分的な微妙な変更はあったが、昔から今とほぼ同じブランドシンボルを使っている。何よりも同じシンボルを使い続けることで、顧客の頭のイメージが深く浸み込んでいくことを理解している当然の選択である。

4. キドニーグリルの一貫性

キドニーグリルは、1933年にBMW初のオリジナル車として発表された「BMW303」から今日まで、過去の一部ライセンス生産車を除いて採用され続けている。

ボディデザインは時代を経て変化しているが、フロントマスクのキドニーグリルを踏襲し続けることで見え方に一貫性を与えている。

ここでは”同化”と”異化”の原則を取り入れている。デザインを同じように見せるという同化というコンセプトであり、時を経ても一貫性を保たせる時間軸による視点である。

もうひとつは、車種ごとに微妙にキドニーグリルのデザインを変えていることであり、これは異化のコンセプトである。

認知心理学の「丁度価値差異」の原則を取り入れている。デザインセンスの高い企業でもある。

5. ブランドスローガンの一貫性

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ブランドスローガンとは、企業のコーポレートブランドシンボルと同時に併記されるスローガンで、ブランドが目指す世界感や約束を表現する場合が多い。

日本で採用しているブランドスローガンは、”駆け抜ける喜び”であり、長年にわたり使用されている。

世界でも同じようなブランドスローガンを一貫しており、走ることが楽しく、喜びが生まれる車しかつくらないという決意の表明でもある。

6. ブランドコミュニケーションの一貫性

ブランドマネジメントが優れている大きな理由の一つであり、かつ他社がなかなか真似できないのが、あらゆるコミュニケーションにおける世界観の一貫性管理である。

BMW では世界観を規定するルールをもっており、あらゆるコミュニケーション製作において参照されている。
DM、名刺、封筒、広告物まで維持されているのは、驚くのはその徹底ぶりである。

車種の問題を抜きにしても、なかなか他社に真似できない理由は、デザイン規定を頑なに守り続けていく仕組が社内にあるからだ。

7. インナーブランディング

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BMWには、ブランドアカデミーがある。それまでの自動車メーカーのトレーニングといえば、修理やセールストーク、営業管理など学ぶものであった。

BMWでは、その名の通りブランドについて学ぶ場であり、自動車メーカーの試みとしては世界初のものであった。歴史やアイデンティティ、MINI ブランド、ロールスロイスブランド間の違いやBMWの歴史なども幅広く学ぶことができる。

8. ディーラーの整備

顧客の接点になるディーラーにも力を入れている。

車の置き方、花瓶の展示位置から、お茶が出される場所まで細かく規定されている。

展示場の床の材質、テーブル椅子に至るまで規定があるという。

お客の目に触れない工場の壁や床の材質まで全世界統一基準で決められているという。

9. 安全運転啓発活動

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近年どのメーカーもドライバーのトレーニングスクールを開設しているが、1976年にBMWがドイツ国内の交通事故を減らすために世界に先駆けて始めたものである。

BMWの性能をキチンと理解してもらい、事故の減少につながり、かつ”駆け抜ける喜び”が満喫できる。
真の狙いはここにある。

10. 中古車価値向上

アプルーブドカーという概念を早くから導入している。認定中古車を表す言葉である。
1987年、日本では他社に先駆け導入した。

一般生活者には街中を走っている自社製品が、新車なのか中古車なのか区別がつくことがない。

顧客のイメージを適切にマネジメントしようとすると、中古車もブランドマネジメントの範疇に入れるべきというのが彼らの主張だという。

安かろう悪かろうのイメージを払拭することで、車自体のプレミアム感を保とうとしている。

BMW以外の車は扱わず、店舗外観にも規定を設け、必要以上に多店舗展開しない方針をとっている。

顧客は中古を買うという後ろめたさを感じさせない工夫、プレミアムカーを購入する期待感と満足感を感じさせるのだ。

一貫性という明確な意志の実現

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彼らの素晴らしい点は、他のブランドとは違い、頑なまでにブランディング施策に一貫性を貫いてきたことである。

たとえば、キドニーグリルであるが、踏襲し続ける理由が明確に存在している。
アイデンティティはもちろんであるが、実は顧客の安全性を考え、この特徴を生み出し維持し続ける理由がある。

キドニーグリルと丸目 4 灯ライトデザインは、アウトバーンでスピードよく駆け抜けても、一目でBMWと分かるようにしている。そうすれば安全性につながり、外見から見てすぐに BMW と分かるデザインを踏襲することで様々なメリットを生み出している。

夜間走行においても同じであり、夜、相手のクルマに瞬時に BMW と分かってもらう必要性は、昼間よりも求められる。日本は数年ごとのモデルチェンジを繰り返し、10年も経つと、もとのデザインの原型が分からなくなることが多い。

現在のブランド戦略全体が、人の安全を第一に考え、流行やトレンドには流れない明確な意志をもっているのである。

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参照画像 【BMW Design Night – Car Body Design #186394 on Wookmark】
参照画像 【BMW Facebook page】

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