【 建築する動物たち 】 ビーバー の水上邸宅から シロアリ の超高層ビルまで~ その優れた仕組は人の住む建築にも応用できる

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社会性昆虫の建築

南米のハキリアリの巣は地下 6 メートルに達し、800万匹の成虫それに加えて200~300万の卵や幼虫が生活している。コロニーは、絶えず供給される新鮮な草の葉によって維持される。この葉は、蟻が直接食べるのではなく、噛み砕いてパルプ状にされたものが、専用のキノコ畑を栽培する堆肥のように使われる。

農業をするこの蟻は、キノコがコロニーの食糧となる。コロニー内の廃棄物は地下にある巨大なサイロに捨てられる。

地下通路や小部屋、居室や畑で構成されるこの巨大な構造物には換気が必要で、そのためのシステムも構造のうちに取り込まれている。

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掘り出された土が、地面では上に小塔を乗せ多数の入り口のある平たい塚になっている。塚の表面に風が通るだけで、頂上部では気圧が根元に比べて低くなる。

これによって空気が塚の上部から流れ出て、緑の部分にある通路から流入する。

流れを誘発して巣を換気する仕組みは、飛行機の翼に浮力を与えている原理と同じだが、蟻の塚の場合には、風の方向に関係なく圧力の差が作り出される。

これはハキリアリの建築に見られる優れた能力のなかでも、巣の換気圧力の仕組みはとくに優れている。

さらに詳しい内容を知りたい方は 【 建築する動物たち ビーバーの水上邸宅からシロアリの超高層ビルまで   】 参照されたし。

磁石シロアリ:コロニーが生態系に及ぼす驚異的な影響力

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社会性昆虫の大きなコロニーが生態系に及ぼす影響、そして支配的なチカラを直接見ることが出来る場所の一つとして、オーストラリア、クイーンズランドのケープヨーク半島各地とノーザンテリトリーがある。

ここでは「磁石」シロアリの塚が等間隔で立っている。平らな外形は巨大な墓場のように同じ方向に並び、乾期には黄金色の草地に長い影を落とし、雨季になると浅い沼湖に高さ3メートルからの輪郭を映す。

塚の平たな面は東西、したがって長軸が南北に向いていることから「磁石」と呼ばれる。塚の極めて特異なこのような方向性は、温度調整のためであることが、30年前以上に証明されている。

平たな東向きの面は昇る太陽、西向きは沈む太陽によって温められる。直立した厚板は頂上が細くギザギザになっているので、日中の暑さの中でも日光の当たる面積が小さい。

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これによって巣の温度は確実に好都合な摂氏 33 度から 34 度に急速に上がり、夜になるまでほとんど変わらずに保たれる。夜になるとシロアリは塚から出て、乾燥した草を集めて塚の中の小部屋に貯蔵する。

それは乾季に利用できるし、それぞれの塚が人工的な島のような状態になる雨季にも用いられる、すぐれた超高層ビルディングとなっている。 オーストラリアに生息するアミテルメスの他の種や、アフリカのマクロテルメスの種も高い塚をつくるが、それらはどれもが丸味を帯びた形で、磁石シロアリがつくる平たい形では無い。

磁石シロアリの家の最も顕著な特徴は、季節的に洪水にさらされる点だ。そのために雨季に貯蔵食糧を乾かしておくには最善の建築デザインなのかもしれない。

網という罠の為の棲家

網を張るクモは、獲物を捕らえる粘着性のある糸を、クモはどのようにして螺旋状に張っていくのか。

クモは経糸が集まる中央部分から始めて、外側の枠に向けて螺旋状に糸を張る。この段階では、捕獲用の糸でなく足場になる糸を張っている。

この糸がそれぞれ経糸と結ばれるところで、いつも同じ角度で糸を交差させるという規則に従っている。クモにそれができる理由は不明だが、とくかくその結果として、一周ごとに中心から外に向かって開いてらせん構造がつくり出される。

足場の糸は、獲物を実際捕えられる糸を張る際に、経糸を固定するための一時的な構造なのでそのように呼ばれる。捕獲用の糸の方は外側から中心に向かって張られ、それと同時に足場糸は取り除かれる。

クモはこの場合、一回りごとに等間隔に糸を張るという規則に従っている。その前に外側に張られた捕獲用の糸に、外側の前脚でつかまるという簡単な方法で行われていることがわかっている。

これが、捕獲用の糸とそれぞれの経糸の交点を決める簡単な物差しになる。捕獲用の糸の美しい幾何学的な効果を生み出す優美な配列は、単純な定型化された反復行動によって作り出されている。

Giant spider web forming in Texas

 

このように、クモの罠づくりには確かにいくらかの行動の複雑性が見られる。しかし私達人間には、罠をつくる技量において、罠を想像する知能があるが、獲物を捕獲するには直接手を下す必要が無くて、自分の代理となって作用してくれる構造がつくれることを理解している必要がある。

クモは罠をつくる間にそれを想像するのだろうか。網のデザインは、この種の受け継いできた特徴であり、クモの円形網とその変形の進化の過程によって作り出され、遺伝子によって伝えられたもので、どの種にもそれぞれの網のデザインがある。

これは明らかに人間と異なり、人間の場合には、魚捕りの罠は想像力の産物であり、学習によって代々伝えられる。そして罠の概念を理解してしまえば、様々な獲物や材料に適した多様なタイプの罠を生み出すことが出来る。

著者が主張するこの比較は「二つの経路」の視点、つまりクモは人間と根本的に異なる思考過程で罠とつくるという考え方を支持しているようだ。

求愛用だけにつくられた建築、バワーの時代的進化

ニワシドリ科はオーストラリアとニューギニアだけに生息する少数派で、わずか 20 種類にすぎず、全部ではないが大部分の雄がバワー ( あづまや) をつくる。

この科以外で求愛のために特殊な構造物をつくる種はいないし、これに匹敵する複雑さを持つ構造物をつくるものもいない。雄のマダラニワシドリは乾燥した細い草の茎を集め、それを立ててアベニュー ( 道路 ) をつくる。茎は立ち上がるにつれてアベニューの中央に向かってカーブを描く。

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前面にこぼれ出ているゴツゴツした黒い小石、さらにその先に散らばる骨や貝などを撒く。これら巣ではなく、マダラニワシドリの巣というのは、ディスプレーの後に木の中につくられるカップ状の小枝に掛けられ、これは雌が単独でつくる。

バワーは雌を引き寄せる仕掛けに過ぎない。見つかってから150年以上経て、雄のマダラニワシドリがバワーの装飾に利用できるものの種類は人間世界の不注意から増大してきている。

現在では、黒い小石の代わりに割れた瓶のかけらを始め、他の光る製品が利用され、クルマのキーが使われていた例も報告されている。これらは何を意味しているのだろうか。非常に興味深い。

バワーは、鳥が周辺から拾い集めてきたクジャクの尾羽の代理のようなものであり、延長された性選択であると言うのが著者の主張だ。

私たちの芸術活動の起点を、いちばん遺伝子が近い同類のチンパンジーではなく、美的感性豊かなマダラニワシドリに求めるべきであろうと提案している。それは面白い提案と感じた。

動物が建築する優れた構造は私達の棲家にも応用できる

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動物がつくる建築には、安全な避難所、寒さや暑さによる物理的危険から身を守り、捕食者による生物学的危険から身を守る場所としての機能の他、自身の棲と食糧倉とか廃棄物処理装置、食糧生産場所なども考えられるだろう。

さらに本質的にその他二種類の機能があるという。罠とディスプレー ( 誇示 ) である。つくる動物の数から見れば、これら二種類の棲家は、はるかに少ないが、これらも取り上げられており、鋭く考察し問題提起されている。

基本的に類型ごとに事例を踏まえながら、コンパクトにまとめられており、非常に楽しく読めた。私も建築に携わってきたが、自邸やその他依頼された物件を設計をする場合、これらの動物達の優れた構造手法や環境への対処する仕組を取り入れることだろう。

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【関連記事】 昆虫の技術はこれからも様々な分野で応用できますね。

人工クモ糸、量産技術を開発 鋼鉄より強い「夢の繊維」

【溝口太郎】クモの糸を人工的に作った「合成クモ糸繊維」の量産技術の開発に、山形県鶴岡市のバイオベンチャー企業が成功し、24日、東京都港区の六本木ヒルズで、織り上げたドレスを披露した。

クモ糸は、鋼鉄より4倍ほど強く、ナイロンより柔軟なことから「夢の繊維」と言われる。だが、クモは縄張り争いや共食いが激しく、蚕のように人工飼育できないため、工業化は困難とされてきた。

開発したのは鶴岡市のスパイバー(関山和秀社長)。単純な微生物にもクモ糸のたんぱく質が作れるよう合成した遺伝子をバクテリアに組み込んで培養し、たんぱく質を生成。紡績技術も確立し、合成クモ糸の量産を可能にした。繊維は「QMONOS」(クモの巣)と名付けた。関山社長は「自動車や医療などあらゆる産業で利用できる。石油に頼らないものづくりの大きな一歩だ」と話した。

参照画像 【Leaf-cutter ants (Acromyrex octospinosus)】
参照画像 【Shafir Images – [Magnetic Termite Mounds]】
参照画像 【Patchy Work of Mini Grey: Lovely Litchfield!】
参照画像 【Magnetic Termite (Amitermes meridionalis)】
参照画像 【Orumcek a??, kunduz baraj? deyip gecmeyin!】
参照画像 【Beavers: The Boreal Engineers】
参照画像 【Living with Wildlife】
参照画像 【Hyper Intelligent Spiders Work Together to Lure, Trap and Eat Human Prey】
参照画像 【Male Great Bowerbird at Avenue Bower (c Magi Nams)】
参照画像 【File:Honeycomb on tree.jpg】

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